先月31日、JR札幌駅前の商業施設「エスタ」が、多くの市民に惜しまれながら閉店しました。跡地には、高さ約245メートルのタワービルの建設が予定されています。
北海道新幹線の札幌延伸を控え、札幌駅周辺では大型の再開発計画が進んでいます。また、大通・すすきのエリアでも新しい商業施設が相次いでオープンしており、札幌は様変わりしつつあります。
○エスタ閉店
エスタは、1978年に道内初の駅ビルとして誕生しました。2000年までは札幌そごうが、そごう閉店後はビックカメラやユニクロ、「札幌ら~めん共和国」などが入り、まさに駅の「顔」として長年市民に愛されてきました。
閉店当日、店内は別れを惜しむ大勢の人で賑わっていました。地下1階の入り口付近には、「閉店まであと0日」と表示されたパネルを写真に収めようとする人だかりが。利用者からのメッセージカードも溢れんばかりに貼られていました。
○新幹線延伸で激変する札幌駅周辺
新幹線の札幌延伸で、札幌駅周辺は大きく変わりつつあります。
昨年9月には、駅高架下の商業施設「パセオ」が延伸に伴う工事のため閉店しました。
跡地では、道内一の高さとなる245メートルの超高層ビルの建設が計画されています。ビルには、商業施設やオフィスが入るほか、バスターミナルや新幹線アトリウムなども設けられ、交通のハブとなることが期待されます。
また、札幌西武跡地を含む北4条西3丁目の区画では、ヨドバシホールディングスなどでつくる再開発準備組合が、高さ200メートルの複合ビル建設を予定しています。
○大通・すすきの
札幌駅から南に1キロほど行くと大通が、さらに500メートルほど行くとすすきのがあります。大通は百貨店やファッションビルが立ち並ぶショッピング街、すすきのは全国でも有数の歓楽街です。
このエリアでも次々と新しい商業施設が開業しています。
今年6月には「PIVOT CROSS(ピヴォクロス)」が、7月には「モユクサッポロ」がオープンしました。
今秋には、「ココノススキノ」が開業予定です。商業施設やホテルの他、シネマコンプレックス大手のTOHOシネマズも進出し、すすきのに新たな「あそびば」が誕生します。
○課題も
ただ、課題もあります。
エスタ跡地と西武跡地の再開発は、いずれも計画の見直しや工事の遅れに直面しています。建築資材や人件費の高騰による事業費の大幅な増加や、人材・機材の不足が原因だといいます。札幌駅周辺の再開発が目論見通りに進むのかは、雲行きが怪しくなってきました。
壮大な都市改造は今後どうなるのか、変わりゆく札幌の動向から目が離せません。
参考記事:
9月8日付 日本経済新聞朝刊41面(北海道経済)「札幌再開発 見直し相次ぐ ヨドバシやJR北海道 コスト増重荷、規模縮小」
8月30日付 読売新聞朝刊(東京)28面(道社B)「「エスタ」札幌盛り上げ45年 再開発 あす閉店=北海道」
参考資料: