読者の皆さんの中でも人工知能が作った小説が星新一賞の一次審査を通過したというニュースをご存知の方は少なくないのではないでしょうか。この事実が示すことは小説や音楽などは必ずしも人が作るものでは無いという事です。時代の変化を受け、人工知能周辺の法整備が検討されています。
今までの日本の法律では人工知能が作った作品に著作権は認められません。これは著作物の定義が「思想・感情の創作的な表現」となっているため、機械的に作られるものは含まれていないからです。しかし、人工知能の発展によって生み出された作品が保護されないというのは問題であるため、著作権とは別に商標のように登録した創作物の権利を保護することや不正競争防止法を改正することで、無断利用を禁止することなどが検討されているようです。また、機械であれば膨大な創作が可能であることを考慮に入れて、保護対象は人気を得るなどの市場価値が認められたもののみに限定される可能性があるようです。
人工知能による作品に権利が保護されるように法改正されるということは必要なことであり、良いことだと思います。しかし、今回の改正の検討案の中で人が作ったものと人工知能が作ったものを区別することには多少違和感を覚えました。これは結果的に人と人工知能が同じものを作った場合に保護のされ方が変わるということを意味します。確かに、機械的に作成する場合は、事前に材料を必要とするという点で人とは異なりますが、人も知覚した経験を参考に創作をしていることを考えれば、大きく見れば違いは無いとも思えます。
最終的に法律がどのように整備されるかは分かりませんが、より産業が活発になるような改正であること期待するばかりです。
参考記事:4月15日付日本経済新聞(東京14版)3面(総合面2)「人工知能作品に「著作権」」