集英社では、2021年から「集英社XRプロジェクト」が始まっています。XR(クロスリアリティ)技術と自社のコンテンツメディアを掛け合わせメディアの未来を追求することを目指します。
プロジェクトで初となる大型展示会「マンガダイブ2023夏 SHINJUKU」に参加した筆者の体験談とともにXRを活用した展示会の魅力を伝えていきます。
そもそもXRとは、現実世界と仮想世界を融合する技術の総称です。具体的にはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)、SR(代替現実)などが当てはまります。
「漫画の展示会」の会場というと展示された作品を見ながらストーリーを時系列で追うイメージがありましたが、マンガダイブは映像を投影して作品の世界観を体感するためか、全面真っ白な空間でした。
一番驚いたことはこの「空間」を用いた展示方法です。というのも筆者はARメガネをかけ、映画のように一面もしくは視野の届く右側面、正面、左側面に映し出された映像を通じて体験する形を想像していたのですが、マンガダイブは360°つまり空間全面を用いてストーリーの展開を追うかなりエンターテイメント性の強い内容でした。
アトラクションのように次々と様々な方面で映し出される映像が切り替えられ、ある方向にいたキャラクターが次の瞬間には真反対の位置に動きます。そのため、展示を見ているというよりは、終始テーマパークのアトラクションに参加している気分でした。
終了後に案内されるグッズ販売のコーナーでもXRの技術を体感できる仕掛けがあります。会場のアートボードの横にはQRコードが設置されており、スマートフォンで読み込むとARによって映し出されたキャラクターが動き出すのです。会場では特に親子連れの参加者や海外の方が楽しんでいる様子が伺えました。
今回体験した作品がどちらもバトル系漫画だったこともあり、音響や映像によって各ページのインパクトが増強され、原作をアニメの躍動感を感じながら楽しむことができました。
原作者の細かい描写や裏設定などを知りたいのなら、原画展がふさわしいでしょうが、XR展示会はアトラクション要素があるため、体験で参加者を楽しませてくれます。作品を多角的に楽しみたい方、新しく作品と出会うきっかけ作りを目指す方にはぴったりです。
8月3日付の日経新聞では、大日本印刷がメタバース(仮想空間)の構築などを手掛けるハコスコを子会社化し、XR事業の拡大を目指すという記事が掲載されていました。このようにXRの技術の注目度は確実に上がっていますが、身近で体験する機会は未だに少ないと感じます。今後、新しい技術として様々な業界でどのように応用され、利用者にどんな体験を提供していくのか。とても楽しみです。
マンガダイブは2023年8月23日まで東京の新宿LUMINE0で開催されています。気になる方は是非公式サイトをチェックしてみてください。
マンガダイブの公式サイトはこちらから→集英社マンガダイブ公式サイト
参考記事:
3日付 日本経済新聞5面「メタバース構築のハコスコ 大日本印刷が子会社化 XR事業の拡大めざす」
参考資料:
日経ビジネス編集部,XRとは? ビジネスでも活用が始まる「現実世界と仮想世界の融合」,日経ビジネス,2023年3月29日,最終最終閲覧日2023年8月10日