進化を続けるメタバース。今では企業や婚活での利用も

SNSを見ていると流れてくる広告。興味を引くものもあれば、これはちょっとと思うものも。この間、こんな興味深い取り組みを宣伝している企業を発見しました。近年話題となっている「メタバース」を利用したもので「MetaLife」と呼ばれています。このMetaLifeでは、会社に出社しなくてもオフィスを利用したオンライン会議やイベントを開催できるスペース、学生向けに教室として利用することができる機能を揃えています。また、同じ空間にいることで、メンバーの勤務状況を把握でき、リモートワークで失われた同僚や新入社員とのコミュニケーションを復活できる利点もあるといいます。このように昨今より進化を続けるメタバースを追っていきます。

話題になっているとは言え、そもそもメタバースとはどういったものでしょうか。メタバースは、meta(超越した)とuniverse(世界)の合成語でインターネット上に構築される仮想の三次元空間です。利用するには自身を投影するアバターを操作し、他の参加者と交流できます。メタバースの他にも、現実世界でない仮想現実世界を五感で体験できるVR(Virtual Reality)、現実世界と仮想世界を重ね合わせることで現実が拡張したように感じさせる技術AR(Augmented Reality)といったものがあります。現在のメタバースでは、これらの技術を組み合わせて応用しています。

世界のメタバース市場規模(売上高)の推移及び予測(総務省ホームページより)

総務省によるとメタバースの世界市場は、2021年に4兆2640億円だったものが30年には78兆8705億円まで広がると予想されており、メディアやエンターテインメントをはじめ教育や、小売りなど様々な領域での活用が期待されているといいます。

そんな中で、読売新聞オンラインではメタバースを利用した国内のユニークな2つの取り組みが紹介されていました。1つ目は、富山県樫尾小学校での取り組みです。廃校される校舎を小学生らが撮影して仮想空間として残すプロジェクトです。完成したものは、今年度中にインターネット上で展開していくとのことです。今までは写真や映像でしか残すことができませんでしたが、この技術を応用すればいつでも母校を訪れ、思い出すことが可能になるとても画期的な取り組みだと思います。2つ目は、人口減や少子化対策の一環としてメタバースを利用した婚活で、これを始める自治体が増えているといいます。中でも、出雲市はいち早く参戦し、手ごたえも感じているようです。加えて、この婚活は、相手の顔が見えないからこそ性格や内面にフォーカスされる利点もありますが、なりすましなどの課題もあるといい、SNSを悪用するような問題につながらないか今後の動向には注目です。

このようにメタバースは、すでに私たちの生活の一部となってきています。とくに企業がこの技術を取り入れているのは筆者も驚かされました。以前は出社することが当たり前でしたが、コロナ禍を経てリモートワークが生まれ、そして今はメタバースというひとつの空間に出社し仕事ができます。働き方も大きく変化していると実感したからです。変化を遂げるメタバースが、ビジネスや教育の面でどういった道を歩んでいくか。今後の展望がとても楽しみです。

 

参考記事

読売新聞オンライン

「富山の母校 仮想空間に 統廃合の富山・樫尾小」2023年8月4日

「メタバース婚活はタイパがいい、『顔が見えないので素の自分が出せた』…アバター同士で」2023年8月3日

 

参考資料

Metalife HP

TOPPAN BIZ「メタバースとVRの違いとは?」

総務省「情報通信分野の現状と課題」