20日に株式会社ポケモンから、iOS・Android向けのゲームアプリ「Pokémon Sleep(ポケモン スリープ)」がリリースされました。一部有料アイテムが導入されているものの、基本的に無料で遊ぶことができます。
リリース直後からTwitterではトレンド入りとかなり注目を集めており、利用者のツイートをみると「ポケモンスリープのおかげでぐっすり眠れる」「睡眠の傾向が知れて良い」といった反響などが見受けられました。
「睡眠」をエンターテイメント化した新感覚のゲーム、ポケモンスリープはどのように利用者を楽しませる工夫が盛り込まれているのでしょうか。今回は実際に使った筆者の体験を中心にゲームについての解説をしていきます。
ポケモンスリープとは
ポケモンスリープは、ユーザーの睡眠データを元にポケモンの寝顔を集めるゲームです。舞台はカビゴンのいる小さな島。ユーザーはポケモンの睡眠を研究するネロリ博士と共に、ポケモンの寝顔を集め、「ポケモン寝顔図鑑」の完成を目指します。
ポケモンスリープでできること
ポケモンスリープでできることは主に3つあります。1つ目が「睡眠時間の計測・記録・分析」。2つ目が「ポケモンの寝顔の収集」。3つ目が「カビゴンの育成」です。
【ポケモンスリープでできること】①睡眠時間の計測・記録・分析
1つ目が睡眠時間の計測・記録・分析。「ねむる」というボタンを押すと、睡眠時間を計測し始めます。音声録音機能が備わっているため、寝言や睡眠環境音などを記録できます。
音や振動をもとに「寝付くまでにかかった時間」と「すやすやの時間、うとうとの時間、ぐっすりの時間」のそれぞれを記録し、最終的にその日の睡眠の特徴を睡眠スコアや睡眠タイプで示してくれます。これにより、起きた際に自分の睡眠の質を確認することができます。
ただし、睡眠時間は1時間30分以上、また記録は1日2回までという条件があり、条件を満たさない場合は計測などができません。
【ポケモンスリープでできること】②ポケモンの寝顔の収集
2つ目が「ポケモンの寝顔の収集」です。睡眠終了後、その日のユーザーの睡眠パターンと似たポケモンが集まります。しっかりと使うことで寝顔を収集することやポケモンを仲間にすることができます。
【ポケモンスリープでできること】③カビゴンの育成
3つ目が「カビゴンの育成」でゲームとして使っている日中にできます。カビゴンは、仲間のポケモンが採る「きのみ」を食べることで経験値である「エナジー」が大きくなります。エナジーとユーザーの睡眠スコアを掛け合わせた「ねむけパワー」が大きくなるほど、睡眠終了後にポケモンが沢山集まります。
睡眠の質の改善はできるのか
「本作はあくまでも楽しく睡眠を見える化するアプリであって、直接的に睡眠の質を改善したり不眠の悩みを解消したりするものではありません。しかしながら本作が睡眠に興味を持つきっかけとなることで、よい変化をもたらすことができればいいなという想いで制作をしています」
ファミ通.comのインタビュー記事で、開発メンバーのひとりである小杉氏はこのように話していました。アプリと睡眠の質改善に直接的な関係があるとは言い難そうです。それに治療効果があるというのなら、医療に関する法令との関係も問われることになるでしょう。
しかし、「ねむりの約束」という目安の時間を決め、その時間までに眠るとアイテムがもらえるという仕組みや8時間30分以上眠るとスコアが高くなる設定もあるため、スコア向上やアイテム取得の目的で生活習慣を整えたり、睡眠不足を予防したりすることが期待できます。
ポケモンスリープを利用してゲーム依存症になるリスクは?
一定時間の睡眠をとらなければゲーム進行ができないことや朝、昼、夜にできることが限られていることから、「終わる目処もなく、ずるずる続けてしまう」という問題が発生することはありません。そのため、このアプリだけでゲーム依存症になることはないでしょう。
ただ、ゲーム依存症の定義をスマホのスクリーンタイムとするなら、そうとも言い切れなくなります。ポケモンスリープは眠っている間もアプリが稼働し続けるため、睡眠を7時間とった場合には睡眠時間+実質の運用している時間がスクリーンタイムとして表示されます。「ゲームを1時間以内」という目安や「スクリーンタイムは〇時間まで」という決まりのある家では、利用時間についての話し合いが必要です。
実際に利用してみた筆者の感想
筆者はこのゲームを利用して数日も経っていませんが、以前よりも眠りにつく時間や合計睡眠時間を意識するようになりました。「眠ることに楽しみがない」「眠ることがつまらない」と感じている人に眠る目的を与えてくれるため、とても画期的なアプリだと感じています。
ポケモンスリープは「睡眠計測をしたい人」「ポケモン好きの人」という全く相容れないような領域が重なっているため、幅広い層からの流入が期待できると考えます。ポケモンGOに続き、ポケモンのエンターテイメントと人の生活動作を組み合わせた株式会社ポケモン。今後どのようなゲームを作るのかとても楽しみです。
参考記事:
20日付日本経済新聞朝刊13面「ポケモン、アプリ『ポケモンスリープ』配信」 参考資料: ゆーみん17編集部 竹内白州ライター,『ポケモンスリープ』インタビュー。ゲームとしてのおもしろさを追求しつつ、長時間遊ばせない睡眠計測アプリならではの工夫とは。 アニメ『ポケットモンスター』湯山監督など豪華制作協力陣も判明,ファミ通.com, 2023年7月21日、最終閲覧日2023年7月23日 Pokémon Sleep公式サイト,Pokémon Sleep,最終閲覧日2023年7月23日