米食品医薬品局は13日、経口避妊薬「オピル」について、医師の処方箋なく市販することを承認したと発表しました。米国における経口避妊薬の市販は初めてのこと。日本では、緊急避妊薬(アフターピル)について、一定の要件を満たす薬局に限定し、夏ごろから試験的に販売の運用を開始することが決まりました。対象の薬局ではこれまで必要だった医師の処方箋なしに買えるようになったのです。
私は現在、超低用量ピルを服用しています。このピルは、子宮内膜症の痛みや月経困難症の症状を和らげるために用いられます。大学に入学してから次第に、月経前や月経中の症状は重くなっていきました。毎月の月経は、身体的にも精神的にも大きな打撃を与えました。下腹部の激しい痛みや貧血によるめまい・頭痛をもたらすだけでなく、涙が止まらなくなったり、ひとと会うことに恐怖を感じたりするようになるのです。「消えてしまい」と思うこともありました。ホルモンバランスの乱れによるものだと認識するまでは、「一体自分はどうしてしまったのだろう」「自分はなぜこうもダメなのだろう」と自分自身を責めてばかりいました。徐々に、月経だから仕方のないことだと受け入れられるようになり、辛いときには大学を休んだり、アルバイト先に体調不良を伝えて配慮してもらったりするようになりました。しかし今でも、「月経を言い訳にするなんて甘えだ」「あの人はサボってばかりだ」と思われるのでは、と不安に思うこともあります。
超低用量ピルを服用してから、これまでの症状はずいぶん軽減されたように感じます。しかし、このピルにアクセスするには壁があります。まず、医師の処方箋が必要であること。事前に予約していても、一、二時間待たなければなりません。私は現在大学生ですので、比較的時間の余裕があります。しかし、働いたり、育児をしたりする女性にとって、病院に行かなければならないということで、ピルを服用するハードルは高くなると考えられます。欧州では、医師の診察がなくとも薬局で手に入れることができます。
次に、経済的な負担がのしかかることです。保険適用で1か月あたりおおよそ三千円ですが、1年で三万六千円、10年で三十六万円にもなります。最初は、たったの一錠で百円もすることに驚きました。「生理の貧困」のように経済的な理由で生理用品を購入できない女性がいるという現状のなか、辛い症状に悩まされながらもピルを服用することのできない女性がいるだろうことは、想像に難くありません。未成年者のピル服用を無償化することで、月経に伴う不快な症状で苦しむ女子たちは、より学校生活を充実させ、学業にも集中できるはずです。また、月経の期間が、学校行事や部活動の大会、受験日と重ならないようにずらすこともできます。女子が最大限の力を発揮できるようになるのです。
日本では、緊急避妊薬市販に向けて厚労省がようやく動き始めたという段階です。低用量ピルが薬局で気軽に買えるようになるのは、まだまだ先になるでしょう。
参考記事:
7日付 朝日新聞朝刊(13版) 13面