子どもの留守番 潜む危険

「留守番児童」

家族が不在で、家で一人で過ごす子どものことです。核家族や共働き世帯の増加により、この留守番児童の数が増加傾向にあります。

今、その児童たちを狙った事件が頻発しています。留守番中の児童を狙った性的暴行、玄関の鍵を開けた際に押し入り、口を塞ぎカッターナイフで脅す、など内容は極めて悪質です。

海外では、子どもの留守番を禁止する国があります。ニュージーランドでは、14歳未満の子どもを家に残す場合、監督する人をおくことや長時間放置しないことなどを求め、安全が確保されないまま放置すると罰金が科せられます。オーストラリアの一部の州では、12歳未満の子どもの留守番を禁止。違反すると禁固刑が科されます。

各国様々な対策をなす中、日本ではそのような規制はありません。だからこそ、「自分の身を自分で守ること」が求められます。NPO法人「日本こどもの安全教育総合研究所」の宮田理事長は、自衛策として「留守番中はインターホンや電話に出ない」「玄関の鍵を開けたらすぐに家に入る戸締りをする」「家族が不在でもただいまと声をかけ、在宅者はいるようにアピールする」などを挙げます。

このような意識一つでも、被害を抑えることはできると思います。しかし、いくら気を付けていても、不審者はどこでどう襲ってくるか分かりませんし、ちょっとした油断が命取りになる可能性もあります。子どもの注意だけではカバーできないこともあります。だからこそ、いつどんな時も、信頼できる大人が、子どもたちをしっかり見守ってあげなければなりません。

新生活が始まり、1ヵ月近くが経ちました。なかなか自分のことで精一杯になりがちな新生活も、慣れてきた頃でもあると思います。私たち大人が、少しずつでも周りに気を配り、身近に潜む危険を減らし、子どもたちの安全を常にパトロールしたいものです。

 

参考記事: 日本経済新聞28日付 14版43面 留守番児童の安全守れ