中国人は声が大きい、とよく言われます。それは、他の言語と比べ、声調が多いために、ある程度の大きさの声ではっきり話さなければ伝わらないからだそうです。私が滞在していた香港で話されている広東語は、なんと声調が9声もあるそうで、たしかに香港人は、腹の底からきちんと声を出している気がしました。バスの中、市場、レストランは、彼らの大音量の声でどこも活気に溢れています。そして、彼らが好んで食べる中華料理には、様々な種類の肉、野菜、大量の油が使われ、本当に体の内面から元気になりそうな食事です。彼らのエネルギーはやはり、この食事から湧き出てくるのでしょうか。
経済成長の減速も言われている中国ですが、中国李克強首相は16日、北京で開かれていた全人代で「中国経済は困難と希望が共存しているが、希望はより大きい」と語り、2020年まで国内総生産を年平均6.5%以上成長させるとした計画を採択しました。低迷とは言われているものの、ここまで成長を続ける国は他にありません。中国のエネルギッシュさにやはり驚かされます。
ある日、香港で出会ったタクシードライバーは「香港の経済はもう終わりだ」と悲しく語っていました。しかし、そんな中でも、香港市内で旧正月に行われたデモや、新たな市場に目を光らせるビジネスマンなど、エネルギッシュさと希望はやはりまだ健全しています。
もちろん政府による効果的な経済対策は必要ですが、それを動かす人々のエネルギーと希望も同時に不可欠でしょう。日本人にも、まだこのエネルギッシュさ、原動力はあるでしょうか。特にこれからの世代を担う私たちは、希望をきちんと持っているでしょうか。消極的に、冷静になりすぎていないでしょうか。自国の市場を最大限に活性化させ、そして同時に新たなビジネスチャンスを見つける。この貪欲さとエネルギーが、経済再加速には必要でしょう。エネルギーは食から。中華料理を食べましょう。
3月17日付 朝日新聞朝刊 3面「李克強、経済再加速に意欲」