「国vs沖縄」の関係は続いてしまうのか

昨日の夜、テレビやインターネットでこのニュースを見た人も多いのではないでしょうか。沖縄県の米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐって、国と沖縄県の間で代執行訴訟を含む3つの訴訟が入り乱れていましたが、双方が裁判所の和解案を受け入れることになりました。この一文だけを見ると、めでたしめでたし、のように感じてしまう内容ですが、実際はそうではなさそうです。

国と沖縄が和解したと言っても、基地移設問題が解決したというわけではありません。この和解は、お互いが入り乱れた3つの訴訟を取り下げだけであり、国と沖縄の意見は変わってないからです。事実、安倍首相は翁長知事との会談に先立ち、辺野古移設を「唯一の選択肢」と強調しました。一方翁長知事は、「辺野古に基地を造らせないということは、これからも信念を持ってやっていく」と反発しており、これからも基地をめぐっての攻防は続きそうです。

さて、一見この問題は国と沖縄県の間で起こっている問題に見えがちですが、基地自体はアメリカ軍のものであることを忘れてはいけません。今回の和解についてアメリカ国家安全保障会議の報道官は、「代替施設建設が、普天間飛行場の継続使用を避けるためにも唯一の解決策」との立場を強調しました。アメリカ政府は、日本政府と沖縄県の対立が激しくなることを懸念しており、和解で関係改善が進むことには期待もしていると見られています。「沖縄のため」という理由で移設を進める国と、それを使用するアメリカ、それに対抗して基地自体の存在に反対する沖縄県。この3者の意見を交わすことはできないのでしょうか。

夏の選挙を控えたテクニック的な政府の手段とも見られている今回の和解は、根本的な方向決めではありません。これから、主に国と沖縄、そしてアメリカの解決に向けた姿勢が求められてきます。私を含め沖縄以外に住む人々は、沖縄県の基地問題をあまり自分の生活に直結したこととして考えられないかもしれません。しかしながら、沖縄県が私たちの代わりに基地の多くを背負っているのもまた、事実です。基地問題を単なる政争の道具とせずに、根本的な解決を実現するには、案外私たちの考え方ひとつなのかもしれません。

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