ばかにならないペットの医療費の話

2月22日。にゃんにゃんにゃん。そう読めることから、今日は「猫の日」とされています。

新型コロナウイルスの流行で増えたおうち時間。そんな暮らしに癒しを求めて、ペットを飼う人が増えました。出不精になりがちなコロナ禍でも犬と一緒に散歩に出かければ運動不足の解消に繋がります。一方の猫は人間がそれほど構わなくてもマイペースに過ごすため、飼いやすいと言われます。

ですが、人間ほどではないとはいえ、動物と暮らす以上、当たり前にお金がかかります。エサ代にトイレ代。人が出かけている間も快適な室温を保とうとなれば、その分の冷暖房費も必要です。

今日の猫の日に先駆けて、総合保険代理店のR&Cが猫の一生でかかる費用のアンケート結果を発表しました。調査対象は猫を飼う3000人。結果によると、猫の飼育で必要となる金額は264万円。平均寿命はおよそ15年のため、この間にこれだけの出費があるということです。

アンケートでは出費の項目を、エサ代やトイレ代などの「日常的にかかるお金」、医療費などの「ときどきかかるお金」、猫自体の購入金額などの「最初にかかるお金」の3つに分類しています。それぞれ123万円、130万円、11万円と安くありませんが、とくに高額になっているのが「ときどきかかるお金」です。具体的にはワクチン、健康診断、治療のための医療費、冷暖房費がこれに該当します。

筆者も猫を飼っていますが、医療費はばかにならないと強く思います。単なる癒しとするのではなく、ペットの健康に気を使うことも飼い主の務めであるため、仕方のないことかもしれません。ですが、人間とは違い、動物の医療保険というのはまだあまり浸透しておらず、特段何かに加入していない限り、費用は飼い主の全額負担となります。そのため、動物病院に行く度に、「お会計が高額になったらどうしよう…」と母と共にヒヤヒヤしてしまいます。動物病院から勧められる定期検査や去勢費用にも数万円がかかります。大きな病気が見つかったとなれば、治療、入院など、金額はもっと高くなっていきます。

以前、同じく猫を飼っている友人からこんな話を聞きました。

飼い猫の様子がおかしく、動物病院に連れていくと大病を患っていることが発覚。地元の病院ではできる治療が限られるため、専門の大学病院へ行くと、手術代として数百万円かかると言われたそう。家族で話し合った結果、「人間だったら絶対治療するのに、動物だから『ごめんね』のひとことで済ませてしまうのは、人間のエゴだ」と、ローンを組んで手術することを決めたと言っていました。

ペットが家に来た時には考えもしませんでしたが、いきなり大きな金額が必要になる可能性もあるのだと痛感しました。動物と一緒に暮らしている家はたくさんあります。すべての飼い主が高額な医療費を負担できるかと言えば、そうではないでしょう。やってあげたくてもやってあげられない。葛藤の中で治療を断念せざるを得ないケースも少なくないのではないでしょうか。

ペットを飼ってみたはいいが、実際にやってみると大変だった。対面活動が再開されて飼いきれなくなってしまった。コロナ禍のペットブーム後の飼育放棄が問題となっています。最近では医療費を負担してくれるペット保険もあるようです。自分のためにも、ペットのためにも、ミスマッチで捨ててしまうことがないよう、動物を飼うリスクやその対応策まで考えなければならないでしょう。

 

参考資料:

R&C、「猫の一生にかかる費用は264万円!食費や医療費など生涯にかかるお金を3000人調査

 

参考記事:

21日付毎日新聞朝刊(東京)7面、「飼い猫の生涯コスト264万円 食費64万円/医療費46万円/冷暖房費65万円

2022年1月14日配信、読売新聞オンライン、「コロナ禍で安易に飼いたくなる犬猫、限界感じ手放す人も増加…専門家『寿命まで飼う覚悟して』

2021年4月9日配信、朝日新聞デジタル、「コロナ禍、癒し求めてペット…数日で飼育放棄する実態