卒業式といえば花束 もらった花はどうする?

「先輩、ご卒業おめでとうございます」

3月に大学卒業を控える4年生のために、サークルの後輩が歓送会を企画してくれました。ついに送られる側になったのか。この4年間をしみじみと思い出しました。

後輩からは卒業を祝う言葉、4月からの活躍に期待しているとの激励の言葉に加え、鮮やかなピンク色の花束をもらいました。色もサイズもとても可愛くて気分が高まります。

もらった花束。鮮やかなピンクでとてもかわいらしい印象。(2月14日筆者撮影)

卒業式や何かのお祝いの時には花束を贈っておけば安心との思いもあるようです。花束を持って写真を撮ることは多く、雰囲気が明るくなり写真映えもします。花屋に行くとすでにブーケになったものもありますが、入れてほしい花をオーダーして、送る相手のためだけの花束を作ることができる楽しみが贈る側にはあります。見栄えもするし、お祝いにはぴったり。感謝の気持ちもお花に込めて渡せそうです。

花束を持って写真を撮ってみると確かに雰囲気が明るくなる(2月14日友人撮影)

花束には言葉で伝えにくい思いをのせることもできます。さまざまな花を組み合わせれば、よりロマンチックになります。有名なのはプロポーズに108本の真っ赤な薔薇を贈るというもの。赤い薔薇には「情熱」「愛情」「美」「あなたを愛しています」といった花言葉があり、108本には「とわに」の語呂から「結婚して下さい」という意味が込められているようです。色、本数、花の種類による意味を組み合わせることでかなりの感情や思いを伝えられます。

ではもらう側はどうでしょうか。筆者と一緒に花束を受け取った同級生は、「自分のためにお花屋さんに行って選んでくれたんだと思うと嬉しい」「卒業するんだなと実感させられる」「写真を撮りたい」と喜んでいる様子でした。ところが、電車に乗って帰宅する際にぼそっとこんな声を漏らしました。「花束、どうしよう…」。興奮が冷めてしまったのでしょう。急に現実の世界に引き戻されたようです。

花束は生の花であり、もらった後どうするかという最大の問題が常に付きまとうのです。「前はどうしていいか分からずに、すぐに枯らしてしまった」「卒業式にお花をもらったけど、引っ越しがあるから困った」とも言っていました。こちらも話を聞いてどうしようか…と悩みました。

筆者は一人暮らしで、部屋をおしゃれにしようとしたことはなく、花瓶はもちろんありません。玄関も狭くて飾るところが思い当たりません。「今日は気分を上げるためにお花買って帰ろうかな」と言ってひまわりを一輪買って帰る。そんな友人もいましたが、かなりのレアケースでした。ドライフラワーを玄関や壁に飾ることはありますが、生花は枯れてしまうため、ハードルがかなり上がってしまいます。さて、どうしようか。お花が好きな母に相談すると、「きれいな色でお部屋も明るくなるんだから、瓶やコップに入れてみたら?」とのアドバイスです。偶然にも食べ終わった後のクッキーの入れ物があったので活けてみました。部屋の雰囲気が明るくなり、ちょっと贅沢な空間に感じます。

即興のわりに見栄えがよい。問題は枯れ始めてから。(2月15日筆者撮影)

もらった後のことに「文句」をつけてきましたが、花束自体が嫌というわけでは決してないのです。「すごく嬉しい」。この言葉に嘘はありません。しかし、現実的に考えると困ってしまう。自分が受け取って当惑したのに、やっぱり花束の魅力には勝てずに結局花束を渡してしまった経験が何度もありますが、自分が贈る側になったときは受け取った後のことに少しは思いを馳せたいと思っています。プレゼントを選ぶ際には、そこまで含めて感謝の気持ちであることを忘れないようにしたいものです。