昨年12月31日に死去した前ローマ教皇ベネディクト16世の一般弔問が2日から4日の三日間に渡ってバチカン市国にて行われました。バチカン市国への入国には厳重なセキュリティチェックがあり、警備員とみられる人も多く配備されていました。飲料の持ち込みは禁止されていました。
入国してまもなく真正面に広がる壮大な建物がサン・ピエトロ大聖堂。ここにベネディクト16世の遺体が安置されています。中へ入るには長蛇の列に並ぶ必要があり、前教皇と対面するまでに1時間ほどかかりました。伊のメディアによると約5万人が参列したといいます。バチカン市国の国籍を保有している人口が615人(2018年10月)であることからも、参列者の多さが分かります。
全世界で21億7000万人の信徒がいるキリスト教の中での最大宗派であるカトリック。その中で「神の代理人」として特別に位置付けられているのがローマ教皇です。あまり宗教と馴染みがないと考えられがちな日本でも、カトリックの信者数は約43.5万人(2020年)います。
初代のローマ教皇はイエス・キリストの十二使徒のうちの一人であるペトロでした。そこから現在にいたるまで約2000年間継承が続いており、現在のローマ教皇フランシスコで266代目となります。2013年に生前退位したベネディクト16世は、名誉教皇として陰ながらカトリックの人々を支え続けていたのでしょう。
イングランドとウェールズでカトリック教会を率いるヴィンセント・ニコルズ枢機卿は、ベネディクト前教皇は「20世紀で最も偉大な神学者の一人だった」とコメントを残していることがBBCで報じられています。
参考記事:
5日付 朝日新聞デジタル「前ローマ教皇・ベネディクト16世の葬儀に5万人が参列 バチカン」
2日付 日経新聞電子版 「前ローマ教皇に信者ら別れ バチカンの大聖堂で弔問」
参考資料:
外務省 「バチカン基礎データ」(2022年5月17日)
徳安茂 『なぜローマ法王は世界を動かせるのか: インテリジェンス大国バチカンの政治力』 (2017)