「宮崎議員は嫌いになっても、男性育休は嫌いにならないでください」

「宮崎議員は嫌いになっても、男性育休は嫌いにならないでください」。厚生労働省の「イクメンプロジェクト」の座長・駒崎弘樹氏の言葉です。

「育休宣言」をしながら、不倫問題を報じられ議員辞職を表明した自民党の宮崎謙介衆議議員。民主党の枝野幹事長は、「男性で育休を取得する人を増やしたいと思っている立場からすれば、足を引っ張られた」と述べました。不倫報道が出る前、宮崎議員が育休宣言をしてから、政界も世論も賛否は拮抗していました。この宣言がパフォーマンスであったとしても、それとこれは別物。男性の育休に関する議論を後退させてはいけません。本日は、国会議員の育休取得について考えていきます。「ゲスの極み先生」のことは一度、忘れましょう。

国会議員が育休を取ることで賛否が割れるのはなぜか、整理していきます。そもそも衆参両院の規則が定める欠席理由は「出産」のみで、「育児」は含まれません。つまり、厳密には男女ともに育児休暇は認められていないということです。ただ、「国会議員が育休を取ることで、男性の育児への参加意識を向上させてほしい」という意見もあります。また、自民党の野田聖子元総務会長は「男性も親の自覚をもって休む権利があるんだと言ってもらいたい」と賛成しました。一方で、国会議員は「民意の負託を受け、特権も与えられているのに、責任放棄では」との反対意見も多い。また、育児・介護休業法は育休を認めていますが、自営業者は対象外。谷垣禎一幹事長は「育休は雇用されている人の制度。自営業者にはなく、育児休業しようと思ったら自分の判断でできる」と慎重な態度です。

私は国会議員が育休を取ることに賛成します。今回の問題で、「宮崎議員がこんなことになったから、育休を取っている男性の肩身が狭くなる」という意見もありました。ということは、「国会議員が育休を取れば、世間の育休を取りにくい空気が壊せるのではないか」とも思うのです。育休を推進する立場の政治家には育休をPRする役割もあるでしょう。男性が家庭に協力することに、社会の協力も必要です。

しかし、国会議員には欠席しても、歳費と文書通信交通滞在費の229万4000円が毎月全額支給されます。受け取りを拒否することもできません。世論はこれに反対するでしょう。それならば、議員立法でひとつずつ変えていけばいいのではないでしょうか。

「宮崎議員の不貞と男性の育休取得はまったく別物。女性を支えることを常識にしていかなければならない」。野田氏が述べたように、ここで議論を止めるわけにはいきません。

参考記事:朝日新聞デジタル、YOMIURI ONLINE 国会議員育休取得 関連面