先日男性の友人と買い物に行った際、「ちょっと化粧品売り場見ても良い?」と言われついていくことに。美容に詳しくない筆者からすると似たようなものが並んでおり違いがよくわからなかったが、友人は女性の友達やインターネット情報を元にお目当てのものを熱心に探していた。メンズメイクはこんなにも身近になっているのだと痛感させられた。
実際、世間でメンズメイクへの関心は高まっている。クロス・マーケティングの調査によると、メンズメイクへの印象を「よい」と答えた割合は全体の51%。年齢別では、15歳から19歳が最も高く70%、次いで20代が58%、30代が57%と、15歳から39歳では半数を上回った。また、実際のメイク率も最も高い20代では19%に上昇している。
背景には、巧みにメイクを施しているBTSを筆頭とした韓国アイドルを見かける機会が増えたことや、リモートワークの中で自分の顔と向き合う機会が増えたことなどがあげられる。
ただ、美容意識への高まりは男性側の主体的な動きだけではない。 国立社会保障・人口問題研究所が行った2021年の出生動向基本調査によると、女性側が男性側の容姿を「重視する」、「考慮する」を合わせた比率は、1992年の調査以降過去最高の81.3%を記録。女性の社会進出が進み自立する人が増えてきたことで、これまで男性の評価で重要だった経済力にとどまらず容姿も重要な物差しの1つになってきた。こうした女性側の意識変化に合わせた「生存戦略」として、メンズメイクはこれから必須になっていくのかもしれない。
大学1年生の時、女子学生から聞いた「今日は髪が上手く巻けたから気分が良い、おしゃれって楽しい」という言葉が忘れられない。自分にはない感覚だ。美容への意識は、日常に些細な彩りを増やすことを知った。
なりたい自分になる。社会に求められていることだから。理由やきっかけは何でも良い。今まで女性ばかりだったものが男性に普及する、その逆もしかり。新しい可能性が広がっていくことは、きっと日常に楽しさをプラスしてくれる。メンズメイクが、その先駆けになればよいなと思う。
参考記事:
25日付 日本経済新聞朝刊 16面(ビジネス1) 「コーセー、メンズつくらず」
参考資料:
国立社会保障・人口問題研究所 「出生動向基本調査(結婚と出産に関する基本調査)」