24日に閉幕したオレゴン世界陸上。各国のトップ選手たちが集結し、いくつかの種目での世界新記録を始め、多くの好記録が生まれました。
日本代表選手の活躍も、多く見られました。男子100メートルで日本人選手として初の決勝進出を果たしたサニブラウン選手、競歩や、やり投げではメダルを獲得しています。
その中で、特に印象的だったのが、男子の4×400メートルリレーです。日本は4位入賞、アジア新記録更新を果たし、メダルには届かなかったものの、世界大会での過去最高の順位となりました。
リレーと聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、4×100メートルリレーの方ではないでしょうか。リオデジャネイロ五輪では銀メダルを獲得。その後の国際大会でも、世界トップクラスのバトンパス技術を擁してメダルを獲得しており、日本のお家芸と言える種目です。
一方で、今回の4×400メートルリレーは「マイルリレー」とも呼ばれ、1人あたりトラック1周を走ります。距離が長い分、選手個人個人の走力が重要になってくるため、400メートルリレーと比べ、日本がなかなか上位に届かない種目でした。
今回メダルに限りなく近づいたこの種目、日本代表メンバーの平均年齢も23.5歳と若く今後の活躍が期待されます。400メートルリレーと同じように、テレビで注目される日も近いかもしれません。
そこで、実際に高校時代マイルリレーを走っていた経験をもとに、陸上に興味がない人でもわかるマイルリレーの魅力と見どころを解説します。
それぞれのレーンを走る400メートルリレーや他の短距離種目と違い、マイルリレーでは、第2走者からはレーン関係なく走ることができます。運動会のリレーのような感じです。選手同士の接触があったり、抜かれないように位置取りをしながら走ったりと、高速で走りながらも戦略的な戦いが要求される種目になります。
また距離が長いことも魅力であり、過酷な点です。一般的に、400メートルや800メートルのような中距離は最もきつい種目と言われています。全速力で走るには長い距離を選手たちがどのように走り、バトンをつなげていくのか見どころです。
また距離が長い分、選手の力量によって大逆転があったり、逆に総合力で勝負できたりする点も面白いところです。最終走者に圧倒的な実力のある選手がいれば、10メートル、20メートルの差も逆転する場合があります。日本は現状として、400メートルで決勝に進めるほどの選手はいないので総合力で勝負する戦い方と言えます。一発逆転というよりも、第1走者から流れを作り、より良いポジション、順位でバトンを繋いでいく点に注目しながら見ると面白いと思います。
短距離走のスピードの中で、抜いたり抜かれたりと、ワクワクするレースが見られるのがマイルリレーの魅力です。「1600メートルリレーもお家芸として復活させる」。エースのウウォルシュジュリアン選手の言葉通り、日本がこの種目でメダルを獲得する日もそう遠くないと思います。陸上経験者として、今回の彼らの活躍を機に、多くの人に注目される競技になることを願っています。
参考記事:
7月26日付読売新聞オンライン「世界陸上 男子1600リレー 過去最高4位アジア新」
https://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20220725-OYT1T50244/