視力の低下と向き合う

筆者が最初に眼鏡を手にしたのは小学5年生の頃。幼稚園時代は「たまごっち」が、小学生時代は「ニンテンドーDS」が流行し、液晶画面に向き合う時間が年々増したのが大きいかもしれません。もちろん遺伝もありますが、小学校高学年から黒板の文字が急激に見えにくくなったことを覚えています。

当時夢中になったゲームたち(25日筆者撮影)

23日、文科省が初実施した実態調査では、小学6年の男子の19%、女子の22%が裸眼視力0.3未満だったことが明らかになりました。

中3の眼鏡・コンタクトレンズの着用率は男子37%、女子49%と、急激に視力の低下が進行していることが伺えます。

スマートフォンの普及、1人1台の学習用端末を配備する「GIGAスクール構想」やデジタル教科書、コロナによる巣ごもり生活で屋外活動が減ったことが原因と、各紙が指摘しています。

近視の象徴である「眼軸長」は、近くを見る作業を長時間続けると、伸びたまま戻らなくなると言われています。調査では、中2と中3の平均値は成人の水準を上回ったことも分かりました。

ショッキングな結果ですが、視力の低下は今に始まったことではないかもしれません。

振り返ると、中学時代は「授業中だけ眼鏡」という生徒が多くいました。筆者もそうでしたが、思春期には眼鏡をかけるという行為に抵抗があったからです。高校時代は運動部に所属し、コンタクトレンズを使用する口実ができました。スマートフォンの所有が当たり前になったことも相まって、卒業時にはクラスメイトの7割ほどが何らかの形で視力を矯正していました。

活動する上からも、精神的な面でも、眼鏡よりもコンタクトレンズが好ましいですが、デメリットはつきものです。筆者のコンタクトレンズ代(1day)は毎月8200円もします。1年で10万円という数字はかなり大きいでしょう。また、使い捨てでない商品であれば、清潔に保つ必要がありますし、最悪の場合は眼病に繋がります。

幼少期から、このようなリスクを背負うことに加え、天変地異など迅速な避難や対応が必要な事態のときに後れを取る不安もあります。安全が脅かされるかと思うと、視力は高いに越したことはありません。

大学生になると、オンライン授業も課題提出も就職活動も、ノートパソコンが必須です。筆者に限って言うと、アルバイトでも長期インターン先でも一日中、液晶画面と睨めっこしています。誰から注意されることもなくなった大人たちこそ、視力の自己管理が重要だと考えます。

文科省は、「正しい姿勢で目から30センチ以上離して見る」「30分に1回休憩する」といった端末利用上の注意点を訴えています。

これ以上視力の低下が進行しないように、こまめに目を休ませることを心がけることにします。


あとがき

過去には「オタク」「インテリ」「内気」といったイメージが先行していた眼鏡も、近年ではその位置づけが大きく変わってきました。視力が低い人の増加に加え、アクセサリーの一部として眼鏡を取り入れるファッションの流行が背景にあるかもしれません。筆者も最近、眼鏡を購入しました。レンズの下半分がグラデーションカラーが施されているため、かけると頬紅を付けたような視覚効果が狙える優れものです。「眼鏡」とひとへに言ってもそのバリエーションは多種多様。視力が落ちても悲観せず、自分なりの楽しさを見出すことも、本文に追加で推奨したいです。

「JINS」のチークカラーレンズ(25日筆者撮影)

参考記事:

24日付 日経新聞朝刊 埼玉12版 46面 「小6の2割 視力0.3未満」

24日付 朝日新聞 埼玉14版 29面 「中3の約3割 視力が0.3未満」

25日付 読売新聞朝刊 埼玉14版 35面 「視力低下 女子で顕著」