悲願の113番元素、努力と神頼み

水兵 リーベ 僕の船・・・。高校2年生で化学から卒業した筆者は、112番目まで覚えることはできませんでした。その周期表に113番目ができるというのです。そして日本の理化学研究所に命名権が与えられました。

皆さま、新年あけましておめでとうございます。あらたにす初めは、日本初となる新元素の命名権についてのおめでたい話題です。

理化学研究所は31日、2004年から3回、合成に成功した原子番号113の元素について、化学者の国際組織「国際純正・応用化学連合(IUPAC)」が理研チームを発見者と認定、命名権が与えられたと発表しました。

原子番号113の元素とはいったいどのようにして作られたものなのでしょうか。理研チームは、原子番号30の亜鉛(Zn)を加速器で秒速3万キロメートルに加速、原子番号83(Bi)に衝突させて合成し、作製に成功しました。04年と05年の結果を論文で発表しましたが、国際機関からデータ不足と突き返されていました。その後、12年に同じ方法で合成を確認し、より確実なデータを提出したそうです。

日本に与えられた初めての元素命名権。今後、IUPACから理研チームに正式な文章が届き、6か月以内に名称と元素記号を提案することになっています。

新しい元素の作り方を聞いていると、イメージも湧かない、遠い世界の人がやっていることと思いがちです。森田浩介・理研グループディレクターは、「新元素発見」の任務を与えられてから、装置の開発に試行錯誤を重ね、いくつもの壁があったそうです。神社で113円のさい銭を投げ入れていたことも。地道な努力と、少しの神頼み。長く努力してきた人を神様は見ていたのでしょう。

お願いをしても、努力をしなければ意味がない。そんなことを考えながら、初詣に向かいます。

本年もあらたにすをどうぞよろしくお願いいたします。

参考記事:

読売新聞朝刊(東京13版)「日本初 元素に命名権」1面

「『周期表に日本の席』」39面(社会)

朝日新聞朝刊(東京13版)「『周期表の座席』勝ち取った」38面(社会)