キャリーバック事故 お荷物と 少しの注意も お忘れなく

今日は大みそか、2015年も残り1日を切っています。月並みな表現をすれば、あっという間とは、まさにこのことですね。本年もあらたにすをご覧いただき、有難うございました。今年最後の投稿は、読者の皆様にこの年末年始、少しお気を付け頂きたいことを取り上げます。今日はキャリーバックを例に、この時期混雑する公共交通機関での振る舞い方を考えていきましょう。

年末年始の帰省ラッシュの人の波、ここ最近目立つのはキャリーバッグです。旅行や出張だけでなく、日常生活で使う方も多いでしょう。筆者も名前のシールを貼って、愛用しています。そんな便利な道具が近年、事故の原因になっているようです。国民生活センターには2005年頃から、事故の報告が入り始め、2009年からは事例を挙げて、注意を促しています。「新幹線の降車時、前の乗客のバックに足を取られて転倒し、骨折した」 「繁華街で隣を歩く人が引いていたバッグにぶつかって転倒した」などの例が紹介されています。みなさんも一度くらいは、ぶつかりそうになったなどのご経験がおありではないでしょう。中には100万円の賠償例もあり、大きな事故にもつながっているようです。お恥ずかしながら、筆者もよくぶつかりそうになり、最近ではかわす技が身につきました。

公共交通機関各社も対策に乗り出しており、JR東日本では、東京駅で日本語と英語のアナウンスを30分おきに流し、羽田空港も国内線ターミナルでポスターを掲示、大型連休の際には、警備員も配置しています。東京ディズニーリゾートでは、キャリーバックの施設内持ち込みは禁止しており、対策の必要性は交通機関だけにとどまりません。注意喚起や警備員など、比較的ありきたりな対策が中心となる中、事故を減少させることはできるのでしょうか。

大きくて、タイヤがあり、しばしば公共交通機関で問題になるもの、もう一つありますよね。皆さんもお気づきですよね、ベビーカーです。筆者はこのベビーカーにも共通して問題の原因があるような気がしてなりません。今日は問題の原因とそこに対して我々ができることを考えていきたいと思います。今日の紙面によれば、キャリーバックが登場したのは1990年代、海外旅行用のものがその便利さから小型化し、今や「一人にひとつ」という形で普及したようです。ベビーカーも近年は欧米の大型機種が日本にはいってくるようになり、親のマナー問題だけでなく、タイヤに足を轢かれたなどの今回の例によく似たトラブルも耳にするようになりました。このような問題の原因は流行に設備が追いついていないことではないでしょうか。

バッグやベビーカーなど、個人が使うものは流行で簡単に変わっていきます。スマートフォンもここ数年で、その便利さから多くの人が利用するようになりました。しかし、設備はそう簡単には変わりません。年末年始など、荷物がなくても人でごった返す新幹線のホーム、キャリーバックを全員使えば、一人あたり2人分ないし、1.5人分のスペースが必要になります。「一刻も早く拡張工事をしろ!」と感じる方も多いでしょうが、すぐには難しいですよね。東京駅のような大型の駅であれば、少なくとも数億円単位からの工事になりますから、1、2か月で終わる話ではありません。設計などの段階でも時間を要するでしょう。このように、個人の生活の変化に、大きな公共施設の変化は追いつけていない、むしろ追いつくことはできない、このいたちごっこ問題の原因ではないでしょうか。

では、我々はどうするべきなのかについても考えてみましょう。意識のある方は国会議員やJRに働きかけてもいいでしょう。ですが、筆者含めた普通の方には難しいですよね。となった場合、まずは「気を付ける」ことが一番です。ベビーカーにも共通しますが、一歩間違えれば、人を傷つけかねません。その意識一つで変わるのではないでしょうか。使っていない周囲もこの時期は注意が必要です。「日本であんな大きなバッグを使うな!」 「我々の世代は抱っこしたもんだ!」などと目くじらを立てず、これも社会の変化と受け入れ、どちらかを一方的に批難するのはもうやめましょう。今の段階では、全員が少しづつ注意しあうしかないのです。

折角のお正月です。お土産に事故や怪我、嫌な体験はいりませんよね。そのためには、お荷物と少しばかりの注意もお忘れなく。

以上、少し早いですが、あらたにすからのお年玉でした。
それでは、皆様、良いお年をお迎えください。

参考記事:31日付朝日新聞朝刊(東京14版) 1面「キャリーバッグ 事故防げ」