就活生は言いたい こんなガクチカじゃダメですか?

3年生の6月になって友達から、「ガクチカって何書いた?」と聞かれる機会が急に増えました。決して突き放すつもりも答える気がないわけでもないのですが、「え、なんでも好きなもの書けば良いじゃん?」と返すと、答えになってないよと言わんばかりの顔をされます。ガクチカのエピソードは、典型的なものでなくてはいけないのでしょうか。

大学の履修データを企業に提供する「履修データセンター」が、3月に首都圏の文系学部に在籍する23卒予定の学生1千人にアンケートを実施しました。コロナ禍で、アピールできるエピソード不足について影響を受けたという答えが6割以上にものぼりました。また、自己PRの内容は、「アルバイト」や「クラブ・サークル」がそれぞれ500人以上と、やはり定番の課外活動を自己表現のツールとして用いる場合が多いことがわかります。

企業がガクチカを聞く本来の理由は、応募者の人物像をより詳しく理解するためです。NHKの大学生とつくる就活応援ニュースゼミというサイトに「『ガクチカが書けない・・・』コロナ禍で就活生はどうすれば?」という就活ニュースがあります。そこで紹介されている資料によると、全体の企業の内9割以上が人柄を重視していると回答としているのに対して、学生は人柄は4割強に留まっていますが、アルバイト経験が5割以上、サークルでの経験が約3割と課外活動での経験を重視していることがわかります。もちろん、そういった経験も十分にその人を理解する素材にはなります。一方で活動内容に固執するあまり、本来の役割を忘れて成果自慢大会のようになってしまっては意味がないと思います。

散歩に力を入れたなら「散歩」を、読書に力を入れたなら「読書」を、将棋に力を入れたなら「将棋」を、ガクチカの欄に自信をもって私は書きたいです。「なぜ取り組んだのか」「どのように取り組んだのか」「取り組んだ結果どうなったのか」「取り組みから得た気付き」これらの要素がきちんと書けるなら、どんなことだって立派な「ガクチカ」のはずです。

 

「あなたの夢は何か、あなたの目的とするものは何か、それさえしっかり持っているならば、必ずや道は開かれるだろう」

何度投獄されても、何年拘禁されてもインドの独立を成し遂げたガンジーの格言は、自分の軸をブレずに持てば成し遂げられると励ましてくれているような気がします。本当に内定が貰えるのか、就活生なら誰しも不安になるでしょう。その不安ゆえにいつしか、こうやった方が良く見られるかもしれないと、現実を見て打算的になってはいないでしょうか。堂々と好きなことかつ頑張ったことを伝えた方が、自分という人となりを明確により魅力的に感じてもらえると信じています。

 

参考記事:

 

9日付 朝日新聞朝刊(神奈川14版) 27面(社会) 「就活生「エピソードがない」」

 

参考資料:

NHK 「ガクチカが書けない・・・」コロナ禍で就活生はどうすれば? 2021年11月22日

ガクチカが書けない・・・ コロナ禍の23卒の就活 どうすれば?|NHK就活応援ニュースゼミ