「マッチングアプリ、やったことあるよ」と言うと、半分くらいは「そうなんだ。どのアプリ使った?」と聞いてきます。「え、大丈夫?」と安全性を心配したり、アプリを使っていることに偏見を持っていたりする人は、同世代だとほとんどいません。私の周りでアプリ経験者と未経験の割合は大体1:3くらいです。
私は、恋人ほしさ半分、好奇心半分で大学3年生の冬にマッチングアプリに登録しました。小中学校では、ネットとの付き合い方について「出会い系は絶対に使わない」「ネットで知り合った人とは絶対に会わない」と教え込まれていましたから、抵抗がなかったわけではありません。親もきっと眉をひそめただろうと思います。ですが、今は出会いも多様な時代。互いの母国語をオンラインで教え合う相手を見つけるためのアプリもあれば、「朝活」をする仲間を求めて、ネットで見つけた素人主催のイベントに参加することも、さほど珍しいことではなくなってきました。マッチングアプリ先進国アメリカでは、プロフィールでの顔出しに限らず、動画の発信すらも今や当たり前になっています。私が登録したのも、ちょうど、友人がマッチングアプリを使って恋人ができたことを耳にしたタイミングでした。
■安全性
使ったのは、マッチングアプリ「with」。いくつかの比較サイトから情報を得て選びました。心理テストや性格診断をもとに相性の良い相手を探せることに惹かれ、また、有名人であるメンタリストDaiGoさんが監修しているなら安全でしょう、といった安直な理由でダウンロード。
「真剣なお付き合いを求めている人が多いだろう」という安心感もありました。私は女性ですから利用料はかかりませんが、男性側は月額1833〜3600円の支払いが必要であり、アプリ登録には公的証明書による本人確認も求められます。ユーザー同士では実名が表示されません。運営側は、24時間体制で厳正な監視システムを敷いており、悪質なユーザーは強制退会させられるのだとか。
「もうすぐアプリを辞めようと思っているので」と言われても、実名などの情報が伝わってしまう連絡先を交換しない。会う場所や時間帯については安全を確保できるように心がける。こうした点に十分注意すれば、アプリでの新たな出会い探しも十分楽しめると感じます。
■実際に使用してみて
アプリを通じて実際に会った人、電話をした人はどちらも数人程度です。アプリの使用期間は、細々と続けて半年ほど。元々マメでなく、好奇心半分で始めてしまった私にとっては少し面倒に感じてしまう部分があったこと、結局そこまで恋人が欲しかったわけではなかったことなどが原因でした。
おそらくほとんどのアプリ同様、初めはチャットで「休日は何をして過ごすんですか?」「(プロフィールを見て)〇〇が好きなんですね。私もです」なんていう他愛もない会話をします。2、3人なら良いですが、続けていくとマッチする人はどんどん増えていくので、他愛もない会話×10、×20となります。これが大変。即レスというわけでもないですから、直接会えば5分でできる会話を1週間かけ、延々と続けることになってしまいました。「あれ、この人は野球が好きなんだっけ?サッカーだっけ?」とプロフィールを往復する羽目に。
また、実際に会ったときに、自分も相手もいきなり「恋人としてどうか」と品定めしている感があるのも苦手でした。私はなかなか、素の自分を出すことができませんでした。
ただ、本気で恋人を探していて、ある程度労力を割ける人にとっては、「運命より、確実」と言うキャッチコピーもあるように、非常に効率的に相手を探すことができる合理的な手段だとも感じます。もっとたくさんの人と会ってみたり、自分の「好みカード」をいくつも登録したり、マッチのときにじっくりプロフィールを見たりすれば、高確率で気の合う人と出会えるでしょう。私のようにチャットが苦手であれば、「早めに通話したいです」「チャットが苦手です」とプロフィールに記載するのも手でしょう。600万人も会員がいるのですから、ありのままの自分を好きになってくれる人もきっといるはずです。
また、とても面白いと感じたのは、検索条件を広く設定すれば、自分が普段絶対に関わらないであろうコミュニティの人と関わることができること。人生経験豊富な15歳年上の方や、修行を一通り終えてお寺から通話するお坊さんなど、実にバラエティ豊かな方々とお話することができました。通話してみて、会ってみて、あらびっくりというサプライズがあるのもマッチングアプリの醍醐味と言えるかもしれません。
■素敵な人と出会えるのなら
もちろん、出会ってからしばらくは、「騙されているかも」「自分を大事にしてくれないかも」という気持ちをどこかで持つことは必須です。これは、ネット上の出会いに限らず、現実で出会った人でも言えることですが。
様々な出会いの形にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。withに限らず、Facebookで趣味のグループに参加してみたり、チャットなしで初めから顔も知らない誰かと通話できるアプリ(Connecting)を試してみたり。一緒にいて居心地が良くて、楽しくて、高め合うこともできて、その人と一緒にいる自分も好きで……そんな人に会えるのは奇跡的なこと。人生が豊かになるのなら、出会いの手段をあまり狭く考えず、一度はあれこれ手を出してみるのも一策かもしれません。