いまや私たちの生活には欠かせないものとなりつつある携帯電話。最近ではスマートフォンの普及も当たり前のことになりました。多くの読者の方がこの投稿をスマホから読んでいるかもしれません。扱う情報量も日に日に大きくなり、利便性は格段に上がりました。しかし同時に、この携帯料金の高さに頭を抱えている人も多いのではないでしょうか。
この携帯料金に、ある変化が起こりそうです。18日、安倍首相の指示で始まった携帯電話の「官製値下げ」の方向性が定まりました。高市総務相は同日、携帯大手3社の社長に割安プランの新設などを要請しました。さらに、これを受けてソフトバンクは最低料金を2割以上下げて月5000円以下とする方針を定めました。他の2社も追随する可能性が高く、月々の携帯料金で悩む心配はなくなる、と思いたいところですが、どうやら実際のところはもろ手を挙げて喜べる状況ではなさそうです。
その理由は、各社が検討している割安プランの実態にあります。例えば、ソフトバンクが方針を固めた料金体系は月に1ギガ未満使用で5000円以下。通信量が格段に増えた今の情報社会で、1ギガのプランにどれほどのニーズがあるのでしょうか。ちなみに大学生の私が使用しているプランは、月に7ギガ使用できます。私は、ひと月でちょうど7ギガを使い切るくらいで使用していますから、1ギガがいかに少ないかは皆さんにも想像していただけるかと思います。しかも、私が使っているものは大体SNSやコミュニケーションアプリくらいで、日頃から4K動画を楽しみたいという需要に1ギガは対応できません。
そもそもこの値下げ議論の狙いは、家計負担を下げることでした。しかしながら、日本の一人当たりの月間データ通信料は過去3年で3倍に増えたことを考えると、今回の値下げ方針は現状に即していないと言われても仕方のないものでしょう。来春にはまた携帯電話各社の商戦が始まります。乗り換え顧客の獲得に躍起になる各社の商法に、私たちは翻弄され続けるのでしょうか。
参考記事:19日付日本経済新聞朝刊(東京13版)3面 「総務省、携帯値下げ要請」