4月の満月は、英語圏では「ピンクムーン」と呼ばれています。満月となったのは、17日午前3時55分。朝日新聞デジタルには、カメラマンが撮影したくっきりとした満月が掲載されていました。一説では恋愛運を上げる効用もあるとか。私たちは古くから宇宙に神秘を感じ、さまざまな接点を求めてきました。
筆者も先月、友人と東京ビックサイトで開催された国際宇宙産業展に訪れました。グッズ売り場にはJAXAが認定した沢山の宇宙食が。レアチーズケーキやたこ焼き、羊羹など多岐に渡ります。好奇心から、いちごのアイスクリームと通販人気No.2の宇宙おにぎりを買いました。通常ならばアイスクリームはすぐに溶けてしまいますし、コンビニで売られているおにぎりは1日経つと食べられません。しかし、どちらも賞味期限は約1年後。これは「フリーズドライ」の製法が施されているからだと販売員さんが教えてくれました。
この製法では、水分を含んだ食品や原料を急速で凍結したのちに減圧。真空状態で水分を昇華させて乾燥させます。日本では永谷園のさけ茶づけ(1970年)、日清食品のカップヌードル(71年)の具として用いられたことをきっかけに広く世に知れ渡りました。数年前のNHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」でも、カップヌードルの開発シーンで、フリーズドライ製法を生み出す過程が事細かに描かれていました。
宇宙おにぎりの作り方は簡単。チャックを開け、脱酸素剤を取り出したら、熱湯か水を指定の線まで注ぎます。熱湯なら15分、水でも1時間待つだけです。驚くことに、水分を吸ったお米が膨らみ、徐々に全体が三角の形に。これで握る手間が省けました。手順に沿って開封すると、手を汚さずに味わえます。
規定以上の水を入れたせいか水っぽさが残りましたが、鮭の香ばしさと味は健在です。2020年に国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟から、宇宙飛行士の野口さんが紹介していたのと同様のものです。
いちごのアイスクリームは、一見クッキーのようですが、口に入れた瞬間にふやけ、ねっとりした食感が広がりました。クリープを口の中に入れたイメージと言えば分かりやすいでしょうか。味はかなり濃厚です。
無重量状態にも耐えることができ、栄養を取るために作られる宇宙食ですが、ふと思いついたのが災害食としての活用でした。早速調べたところ、宇宙食は「日本災害食」に認証されていました。常温での長期保管に加え、高い栄養価を持ち合わせているからです。宇宙船の積載重量は限られているため、食品もパッケージも軽量化されています。一朝有事の際も持ち運びに便利だと言えるでしょう。
災害食として作られた保存食には、大手食品メーカーなどが参入し、内容も生鮮品やデザートなどに広がりを見せています。とはいえ、ケーキやアイスクリームといった生菓子は、まだまだ普及していない印象です。小さな子供がいる家庭や災害時の食のバラエティーを広げたい方に宇宙食はお勧めです。
今回筆者が試した宇宙食は、浜松町駅直通の宇宙関連グッズの専門商社「宇宙の店」や通販で揃えることができます。災害食を補充する際に、検討してみてはいかがでしょうか。
参考記事:
16日付 朝日新聞デジタル 『4月の満月は「ピンクムーン」、今夜から未明に 都心の空に明るい月』
2021年 7月23日 読売新聞オンライン 「長期保存食 ただいま進化中 味向上 普段使いにも」
参考資料:
宇宙の店公式ホームページ JAXAグッズについて|宇宙食、宇宙グッズ、JAXAグッズ、NASAグッズの宇宙の店 (spacegoods.net)