脱コロナか? 新年度の期待と不安

新年度が始まりました。多くの大学や企業がリモート授業やテレワークの廃止を決め、コロナ感染が拡大する以前の生活が戻りつつあります。筆者の大学でも、久しぶりにキャンパスに大勢の姿が見られました。大学のBCPレベルが引き下げられ、大半の授業が対面形式で開講される予定です。

感染が広がり始めたのは、筆者が高校3年生の4月頃。部活の大会や、幹部を務めていた体育祭は、軒並み中止。秋からは受験の波に飲まれ、気づいたら大学生になっていました。しかし、大学の講義は、ほとんどオンライン。「Zoom上で名前をよく見る人」はたくさんいても、授業を通じて友達を作るのはとても大変でした。多くの大学生に通じる悩みではないかと思います。

そんな中、楽しみにしていた今年度の対面授業。とはいえ、オンライン生活に慣れきっていたせいか、久しぶりに初対面の多くの人と顔を合わせ、ワイワイした雰囲気は懐かしかったものの、少し疲れてしまいました。

新社会人はもっと負担を感じているのかも知れません。ツイッターには、会社がしんどい、対面でのコミュニケーションが不安、といった書き込みが相次いでいるようです。

オンライン生活は、慣れてしまえば楽なものです。望ましい授業態度であるかは別として、大学の講義も、カメラをオフにしてリラックスして聞くことができます。就職活動に関しても、リモートであれば、移動や待ち時間のストレスを減らすことができます。そうした、パソコンやスマホ頼りの暮らしの気楽さに慣れた頃、会社という全く新しい環境に飛び込み、しかも対面形式で勤務することは、大きな精神的負担になりえると思います。

社員に出社を求める企業が増える中、リモート勤務を継続する会社もあります。10日付の朝日新聞で紹介されていました。社員は、新設された仮想空間のオフィスに出勤します。自分のアバターを動かして、仮想オフィス内を移動できるほか、周囲の人とリアルタイムで雑談も楽しめるようです。テレワークの利便性を維持しながらも、コミュニケーションの活性化を図る。なんとも革新的な取り組みだと思います。

オンライン授業やリモート勤務の是非は、一概に言い切れるものではありません。コロナ禍以前の生活様式に戻ることを強く望む人もいれば、これを機に授業や勤務の形態の改革を望む人もいるでしょう。しかし、コミュニケーションを取りたい、誰かと繋がっていたい、という思いは誰にとっても共通であるように思えます。環境が変わり、新しい人間関係が生まれ、時に憂鬱になる4月。誰に対しても、そして自分に対しても、ポジティブな姿勢で過ごしたいものです。

 

参考記事:

9日付 朝日新聞夕刊 (北海道4版)7面(社会)「『リアル』は突然に 戸惑う新卒」

10日付 朝日新聞朝刊 (北海道13版)17面 「職場で 気軽にリモート『雑談』」