バーコードをスキャンすると「ピーッ」という音が鳴り、医薬品であることが画面に表示される。最近、市販の風邪薬や、医師に処方された睡眠薬に依存する若い世代の人が増えているという。これらの薬を過剰摂取することは「オーバードーズ」と呼ばれ、最悪の場合、命に関わることもある。
筆者のアルバイト先のドラッグストアでも、薬の大量購入を防ぐための対策として、レジに医薬品と表示された場合、声がけをしたり、登録販売者や薬剤師を呼んで、その都度、用途の確認や説明を行ったりするように決められている。
読売新聞の記事に、厚生労働省研究班の行った調査結果が掲載されており、薬物依存患者の使用した「主たる薬物」として、睡眠薬・抗不安薬と市販薬が4分の1を占めていた。また、10代の患者ではさらにその割合が高いという。
オーバードーズに用いられる市販薬は、覚醒剤などと異なり、ドラッグストアで簡単に入手することができる。身近にあるドラッグストアでは購入のハードルは低い。先に述べたように、対策として医薬品を購入する人には、「こちら医薬品になりますが、ご質問ございませんか?」と声をかける。濫用の恐れがある薬の場合は、1個までしか販売をしない。加えて、登録販売者や薬剤師が必ず説明と用法容量を守るよう注意をしている。
しかし、厳密には販売する側は、購入者がどういう用途で薬を購入するのか確認することはできない。必ず注意をしたり、1個までしか買うことが出来ないという制限をつけたりしても、他の店に行けば買えてしまう。また、時間帯によっては他の業務で忙しく、一人ひとりにしっかりと時間をとって、話を聞くことはかなり難しいのではないかと感じる。
若者がオーバードーズに手を染めるきっかけは、S N Sの情報などが挙げられる。これまで以上に薬物乱用防止についての教育を充実させていく必要があるのではないだろうか。市販薬だから、法律に違反していないから、簡単に買うことができるからといって、大量に服用していいわけではない。
若者の不安や悩みを解消する、薬の危険性について、きちんと教育を行うなど、販売店の対策だけでなく、様々な所で解決のための取り組みを進めて行かなければならない。
参考記事:
2021年11月24日付読売新聞オンライン「[依存社会]第3部 オーバードーズ<上>市販薬、過剰摂取する若者が急増…睡眠薬なども」
https://www.yomiuri.co.jp/life/20211123-OYT8T50000/
2021年11月26日付読売新聞オンライン「[依存社会]第3部 オーバードーズ<下>乱用防止へ 販売制限や授業も」
https://www.yomiuri.co.jp/life/20211125-OYT8T50112/