広場の利用方法を見直すきっかけに ロータリーの会、写真展を新宿区で開催

東京・高田馬場駅前のロータリーをテーマにした写真展「シンボルの自戒」が、15日から東京都新宿区の早稲田奉仕園で開催される。清掃ボランティアをする早稲田大学公認サークル「ロータリーの会」が、駅前広場の日常を撮影した写真40枚を展示する。きれいな街並みの背景に他者の存在があることを伝え、広場の利用マナーを問いかける。

ロータリーの会は、早大教育学部5年の新井国憲さんが代表を務める。20年1月に、後輩と2人で始めた清掃ボランティアだ。新井さんは22日間歩いて、東京から地元福岡に帰省した経験がある。道中で、山の中に捨てられている膨大なゴミを見て衝撃を受けた。「きれいな街で生活できるのはゴミを拾う人がいるから」。何か行動したいと考えた新井さんは、上京したての頃に最も大学生らしさを感じた高田馬場駅前ロータリーに思い当たった。多くのゴミが捨てられており、清掃ボランティアを始めた。

 

多くの人で賑わう高田馬場駅前広場(4日午後11時16分、筆者撮影)

 

発足から2年が経ち、現在は46人で活動している。日曜日を除く毎日、朝8時と夜11時に清掃活動に取り組む。酒の缶、瓶、タバコなどゴミの種類は様々だ。路上飲酒が社会問題となり、駅前ロータリーは昨年5月18日から11月30日まで全面封鎖されたが、利用が再開された今は多くのゴミが散らかっている。

新井さんのインタビューを終えた後、筆者は清掃ボランティアに同行させてもらった。夜の活動は午後11時から。汚れた広場を歩くと、ペタペタと靴底に違和感を覚える。新井さんは手袋をはめて、慣れた様子でゴミを拾い始めた。ロータリーの会が清掃ボランティアを行うなか、目の前でゴミを捨てていく人も見受けられる。広場の植え込みに捨てられたゴミまで拾いあげる。この日の活動で、74本の缶と228本のタバコを回収した。他にも瓶やペットボトルのゴミを回収して、午後11時40分に活動を終えた。これを毎日行っているという。非常に根気がいる活動だと感じた。

 

清掃活動をする新井さん(4日、筆者撮影)

 

展示する40枚の写真の中に、ゴミを拾う写真は1枚もない。「普段のロータリーの様子を見てもらい、マナー違反を見直してほしい」と新井さんは話す。「広場を使う人に来ていただき、日常で気付きにくいものから新たな発見をしてもらえたら」

写真展は早稲田奉仕園スコットホールギャラリーで15日~19日。開館時間は午前11時30分~午後7時、最終日のみ午前10時30分~午後5時、入場無料。3月、4月にも新宿区内で写真展を予定している。

 

清掃ボランティアで拾ったゴミ(4日、筆者撮影)

 

参考記事:

2月5日 朝日新聞デジタル「若年層の心の不調深刻 コロナ緊急事態宣言下の自粛生活 徳島大調査」