◆自粛期間でブーム再燃 日本に行きたい外国人たち
国際交流を断っていた日本が、ペリー来航により開国してから約160年。そんな今、外から日本を見てみると、日本文化は私たちが思っている以上に海外に広く浸透していることが分かります。6年前に筆者が英国に留学した時は、他国の文化に対する理解は今ほど深くありませんでした。インターネットが急速に発達してきたことで、遠く離れた国であってもより簡単に情報が得やすくなったのでしょう。
なかでも、日本のアニメを入り口として日本文化に興味を広げていく人が数多くいます。ロンドンの本屋さんを訪れると、日本書のコーナーは広く、「鬼滅の刃」「名探偵コナン」などの名作漫画がずらり。ロンドンの語学学校でも、ブラジル人の男の子のスマホ画面を「東京卍リベンジャーズ」のキャラクターに設定していたり、サウジアラビア人の男の子とスイス人の女の子が「進撃の巨人」について熱く語り合っていたりと、世界中に愛される日本のアニメは、日本という国そのものへの興味を掻き立てています。特に自粛期間のネットフリックスの利用と比例するように日本のアニメファンもぐんと増えているのではないでしょうか。
◆「開国しなさいニッポン」 留学や就職への影響も
しかし、そんな日本への関心の高まりにもかかわらず、今ツイッターで大きなムーブメントを呼び起こしているのは、「#開国しなさいニッポン」「#日本留学の扉を開く」「#japanentryban」といったハッシュタグとともに投稿された批判的なツイート。G7のなかで最も厳しい水際対策により日本への入国が許可されなかった外国人が世界各地で怒りの抗議をしています。海外で日本への留学のため待機している人は、昨年10月時点で14万人を超えているそうです。
ただの旅行が目的であれば、少しの我慢と辛抱は仕方がないことなのかもしれません。しかし、留学や就職という人生そのものに関わる計画がコロナのせいで全て白紙になってしまう人、入国制限によって日本に帰れなくなった国際カップルもいます。家族を引き裂かれた人たちは、「#愛は観光ではない」と主張し、入国制限に抗議しています。
日本でデザイナーとして働いて生計を立てている25歳の韓国人女性は、一度出国してしまうと戻れなくなるため、一時帰国ができないといいます。コロナが始まってから2年以上もの間、友人はおろか大切な家族の顔すらも見ることができていません。「愛する人に会わせてほしい」。ツイッターはそんな訴えで溢れています。
日本の入国を心待ちにしている外国人が沢山いるにもかかわらず、完全な鎖国状態をこれ以上続けるのは難しいのではないでしょうか。せめて家族や恋人だけでも会えるような措置を望みます。すでに日本国内の感染者数は急拡大しており、水際対策の時期は過ぎています。
参考記事;
日経新聞電子版1月29日「コロナ水際規制、世界で進む『開国』 日本のみ厳しく」