「タベスケ」とは…?食品仲介サービスの秘める可能性

甲府市は21日から、消費期限や賞味期限が迫ったり、余ったりした食材、売れ残りそうな食品などを仲介するサービス「甲府タベスケ」の運用を始めます。タベスケは、自治体の業務支援を行うG-placeが運営する食品仲介サービスで、今まで兵庫県姫路市や長崎県佐世保市でも始まっています。姫路市では、半年ほどで3.2トンの食品ロス削減に繋がったといいます。

事業者側が専用サイトに値引きした商品などを登録し、利用者はサイトで購入を予約します。その後、実際に店で受け取ります。売り手は、甲府市内の飲食店や宿泊施設、小売店に限られます。市保健所で営業許可を取得していることも利用条件です。購入する側は、市内外を問いません。登録や利用は無料となっており、気軽に使えそうです。

甲府市の樋口雄一市長には、この取り組みの普及を、国連の持続可能な開発目標であるSDGs推進につなげる狙いがあるようです。これは、SDGs17目標の12番目「つくる責任、つかう責任」にあたるのではないでしょうか。もちろんフードロス削減は、間接的には第2目標である「飢餓をゼロ」にも繋がります。行政側が明確な目的を示したうえでサービスを導入することで、市民は利用による社会的効果がより分かりやすくなるでしょう。

項目の2と12に「飢餓をゼロに」「つくる責任つかう責任」

それにとどまりません。筆者がこの取り組みで一番強く惹かれたのは事業者の収益アップと家庭でのコスト削減でした。自身の近所にはJAが運営する売店がありますが、売れ残っている品や値下げされた商品も多々見受けられます。ケーキ屋、大型スーパーなどでも閉店間際に棚に残っている商品があります。せっかく値下げしても、対象がその店の利用客だけでは売れ残りかねません。

食品仲介サービスが導入され、インターネットを通じて利用者が一気に広がることで、買い手が見つかりやすくなるはずです。購入意欲はあるが、まだその商品に出会えていない層をいかに掘り起こし、購入のチャンスを提供するのは重要なマーケティング方法であると思います。

こういった食品仲介サービスが、大型スーパーやコンビニなどのチェーン店にまで広がれば、適切な消費と企業側の収益確保と言った好循環が起こるでしょう。自分が必要な食品、食べたい品が残っている店が一目でわかり、利用しやすくなると思いました。実際、セブンイレブンが取り扱っているラーメン「すみれ」を探して地域内の5店舗以上を回った経験があります。これで値下げ品があったなら、その店に直行します。

様々な効果をもたらす食品仲介サービス。多方面での発展を期待しています。

【参考記事】日経新聞 1月18日付 朝刊 東京12版 33面 甲府市、余った食材の仲介サービス

日経新聞デジタル 2022年 1月18日 甲府市 食品ロス削減へ事業者と消費者の仲介サービス

朝日新聞デジタル 2022年 1月18日 「タベスケ」食品ロス削減へ、来月から運用全国3番目 甲府市

【参考資料】タベスケ HP https://tabesuke.jp/

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