明けましておめでとうございます。
クリスマス翌日にはデパートやホームセンターもすっかりお正月仕様になり、皆さん新年に向けて準備をしたことと思います。近隣の神社仏閣や明治神宮などの有名なところへお参りに行く方もいるでしょう。
そもそも「お正月」って何でしょうか?もちろん、洋の東西を問わず新しい年を迎えれば祝いたくなるのは当然ですが、親しみのある行事のはずなのに「何のために?」、「どの宗教?」などと聞かれたら意外と答えられないのではないでしょうか。
お正月そのものについては、どの国にも新年を祝う文化はありますし日本だけを見ても仏教の浸透とともに移り変わった部分があるため、この宗教のイベントだと明言するのは難しいです。ですが、「年神様を迎える」というのがそのテーマであることは確かです。年神様とは神道の考え方です。神道では死者は氏神となり、子孫を守るとされています。氏神も年神様のひとつであり、新年とともに幸福を家族にもたらすためにやってくると考えられています。
お正月飾りと言えば、門松、しめ飾り、鏡餅です。それぞれ年神様を迎えるうえで大切な意味を持ちます。門松は迎え入れるための目印、しめ飾りは神様が宿る場所、そして鏡元は穀物の神様としての年神様へのお供え物だそうです。
神道は仏教が日本に伝わるずっと前から信仰されており、古くからお正月にはこれらが飾られていました。そんなことを感じられるものとして平安時代の短歌を紹介したいと思います。
「門松をいとなみたてるそのほどに春明がたに夜や成ぬらん」 (藤原顕季・『堀川百首』)
大みそかに門松を立て始めたら、そのまま夜が明けて新年を迎えてしまった情景を詠んでいます。準備が終わらないまま元旦になってしまったなんて少し滑稽でくすりと笑えてしまいますが、それほど立派な門松を立てようとしていたんだなと信仰心の厚さも伺うことができる一首です。
ハロウィン、クリスマス、そしてお正月と日本人は10月から12月にかけて世界中の文化を楽しみます。よくテレビでは西洋の人に比べ日本人は控えめと言われますが、このような文化の楽しみ方を見ると、お祭り好きだなとも感じます。日本には国教もなければ、神さまも仏さまも同じように受け入れられており、それもまた何のフィルターがかかることなく純粋に他宗教のイベントで盛り上がることができる理由なのでしょう。神道の信仰対象は山や川を含む万物であり、この時期には多くの家でどんなにささやかな物であってもお正月飾りがあります。無宗教と認識している人が多いと言いますが、何かを尊ぶ気持ちは息づいているのでしょう。
参考記事:
1日付朝日新聞朝刊(東京14版)1面 天声人語
参考資料:
神道のおはなし、「神道と日本の風習」
日本の門松.com、「門松の由来と歴史」
紀文、「お正月のいわれ」