英国のレストランで、メニューの料理名の横にVというマークを見つけました。これはヴィーガンのV。卵や乳製品を含む動物性食品が一切含まれていないことを意味します。ヴィーガン協会は、こうした完全菜食主義者が英国だけで約60万人いると推定しており、人間が動物を搾取せずに生きるべきだという考え方は既に多くの人から支持を得ています。
■植物肉への試み
そして近年の技術の発達によって動物肉の代わりである「植物肉」が作り出されました。植物由来の原料である豆や米、芋などから本物の肉に味や食感を似せて作った本物そっくりな製品です。
マクドナルドUKは、初めて植物ベースのハンバーガー「McPlant(マックプラント)」の試供販売を発表しました。ゴマパン、マスタード、ケチャップ、ビーガンソース、タマネギ、ピクルス、レタス、トマト、ビーガンチーズが使われており、専用の道具を使って、自社の他のハンバーガーやサンドイッチとは別に調理されます。現在はロンドンなどでの限定的な販売ですが、2022年1月から英国全土に拡大する予定です。しかし、いくら本物に近づけたといっても、肉を一切使わずにあの味を出すことができるのでしょうか。今回は、実際にマクドナルドでマックプラントを試食してきました。
商品名 | マックプラント |
材料 | パン、プラントベースのバーガー、レタス、トマト、トマトケチャップ、ビーガンサンドイッチソース、ビーガンチーズ、ピクルス、タマネギ、マスタード |
カロリー | 1798kJ 429キロカロリー |
価格 | 3.39£(日本円で約530円) |
見た目は普通のバーガーと何ら変わりません。しかし食感はより硬く、味も今まで食べてきたマクドナルドのバーガーと比べると少し薄いような気がしました。しかし、それは従来の味を知りすぎているからであって、「肉」という認識がたしかにありました。植物肉だと知らされてなければ、それほどの違和感を抱かずに完食していたことでしょう。ましてや肉が一切使われていないとは絶対に気づかなかったはずです。価格は3.39£(日本円で約530円)でした。
(※10月16日筆者撮影)
■ヴィーガンという選択
日本ではいまだ深くまで根付いていないヴィーガニズムですが、なぜロンドンではこれほどまでに人気が高いのでしょうか。ヴィーガンになることを選択する理由は人それぞれです。宗教上の問題や、倫理的な理由で食べないことを決める人。なかには環境破壊を止めるためにヴィーガンになる人もいます。世界人口の増加に伴い、食糧危機が深刻になるといわれているなか、大豆を原料としている植物肉は、生産時の環境負荷が本来の肉に比べて小さいと言われているからです。畜産業は、森林破壊や温室効果ガスの排出、水資源の消費を促進しているのです。また、動物性食品を食べないことで健康状態が良くなると考えている人もいます。アジアやアフリカなど様々な人種が住むロンドンでは、食に対する価値観も多様です。
ヴィーガンであるないに限らず、植物肉という選択肢が一つ加わることは、私たちの生活の可能性を広げることに繋がります。なんとなく自分とは無縁だと思っていたものでも、試してみることで新たな発見に出会うかもしれません。
参考記事:
日経新聞オンライン「米マクドナルド、植物肉バーガー試験販売へ 一部店舗で」
参考資料:
McPlant | McDonald’s UK (mcdonalds.com)