政党への不信感、健全な期待感

26日、「最低の34」がTwitterにトレンド入りした。「最低の34」とは、日経新聞の記事「内閣支持、最低の34%」のこと。

23〜25日に実施した日経新聞とテレビ東京の世論調査によると、菅内閣の支持率は前回調査の6月から9ポイント低下の34%となり、第2次安倍政権で最も低かった38%を下回る「最低」の数値となった。

同調査では内閣支持率とともに政党支持率も調べられているのだが、それが興味深い。自民党が前回から9ポイントと大幅に下げながらも38%でトップを維持。一方で2位の立憲民主党は9%でほぼ横ばいだった。つまり、野党第一党が国民の不満の「受け皿」になりきれていないのである。

テレビ朝日「報道ステーション」の政党支持率推移グラフ(27日、スクリーンショットで撮影)

 テレビ朝日「報道ステーション」の政党支持率推移グラフでも、菅内閣下での立憲の支持率はほぼ横ばい。2、3ポイント上がることはあっても翌月には元に戻っており、新たな支持者の維持に失敗していることがわかる。

では、自民支持層はどこへ流れたのか。恐らく、その多くが「支持政党がない無党派層」になったと考えられる。日経・テレ東の調査では、「支持政党がない無党派層」は前回より4ポイント上がり35%となった。与党にも野党にも期待できない層が増えているわけだ。

昭和初期の日本において、政党への不信感の裏返しで軍部や官僚への期待が高まった。頼りない政党よりも世の中を一挙に変えてくれそうな組織に期待が集まったのである。このような世論が「昭和維新」を掲げる五・一五事件、二・二六事件など軍人によるテロ事件を後押しし、議会制民主主義の形骸化に繋がっていった。

菅内閣下では、第一党である自民の支持率が低下し、一方、第二党の立憲の支持率も硬直気味だ。主要政党に対する不信感の現れというほかない。それは議会制民主主義の危機につながる。コロナ禍の今こそ、政党への健全な期待が必要不可欠なのだが。

参考記事:

26日付 日本経済新聞朝刊(13版)1面「内閣支持、最低の34%」

参考資料:

「報道ステーション 世論調査 政党支持率推移グラフ」

https://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/graph_seitou.html