児童虐待件数が過去最悪?

面前DV,身体的虐待、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待。どの言葉も最近は聞きなれてしまったのも、虐待に関する事件が頻繁に報道されているからでしょうか。最近では、介護施設で老人が虐待を受けている映像も公開されました。虐待に苦しむ人が子供に限らず高齢者までいるとういう現実。今この時間も、日本のどこかで家族からの虐待に耐えている児童がいます。つらいことです。私たち大人は、虐待件数を少しでも減らせるように地域の子供たちを見守ることが役目なのでしょう。

警視庁は、18歳未満の虐待件数が1万7224人と上半期(1~6月)としては過去最多であったことを報告しました。中でもひどい暴言や無視などの心理的虐待に苦しむ児童が、1万1104人と一番多く、前年度の同時期を比較すると42.9%増加しています。また、子供の前で配偶者に暴力をふるう面前DVの被害に苦しむ児童も7273人と、前年度と比較すると42.2%増えたことになります。その他の内訳は、身体的虐待に苦しむ児童が3882人、ネグレクトを受ける児童が2144人、性的虐待が94人だったそうです。

この報告について、「過去最悪」との文字が見受けられますが、私はこの表現はあまりふさわしくないように感じます。平成12年に児童虐待防止法が制定され、周囲の人たちは虐待を見過ごすのではなく通報することが義務となりました。虐待に対する周りの目が厳しくなっているのです。今回のデータは、虐待の発見件数が増えたとよみとることもできます。また虐待の深刻さを周囲の人が理解していくにつれ、小さな虐待も見逃さないような社会になり始めているのであればいいことだと思います。虐待を受けた者は自分の子供にも虐待をしてしまう。このことは虐待が増え虐待に敏感になっている今、多くの人に知られている事実でしょう。近い未来の虐待を減らすには、些細な虐待を受けている子供も見過ごさず、救ってあげる必要があると思います。(同時に、虐待をしてしまうまでに追い込まれる親が増えないような子育て支援や経済的支援も重要だと思います。)

 

参考記事:9月10日付 朝日新聞夕刊(4版) 一面 社会 「児童虐待通告 上半期1.7万人」 読売新聞夕刊(4版) 十面 社会「児童虐待最悪 1万7000人」 日本経済新聞夕刊(4版) 十四面 社会 「児童虐待摘発最多376件」