生活苦でも…脅かされてはならない健康

生活苦に陥る人が増えるコロナ禍、「無料低額診療」の重要性が高まっています。

無料低額診療とは、医療費のうち患者の自己負担分にあたる1〜3割を医療機関が肩代わりすることによって、患者が本来よりも低額な料金、もしくは無料で受診ができる仕組みです。

この事業は、貧困に悩む人々の健康を支える良い制度だと思います。

記事内に登場する長野県の男性は、30代半ばで糖尿病を発症しましたが、収入が落ち込んでからは医療費が払えないために病院から足が遠のいたそうです。しかし、足のけがでかかった病院が無料低額診療を実施していたことをきっかけに、糖尿病の治療も再開できたといいます。

実は筆者の母も、家庭の経済状況が悪化していた時期に医療費が負担できずに病院から遠ざかっていたことがあります。母は甲状腺の持病を持っていますが、医療機関を久しぶりに受診できた際には少々病気が悪化していました。一人暮らしをしているフリーターの知人も、「診察代が高くて。」と言って、症状が悪化するまで歯医者に行こうとしませんでした。

生活困窮の際に仕方なく受診を断念する事態は、誰しも陥る可能性があるものだと言えるでしょう。このようなことが当たり前に起こる社会だけに、この制度で救われる人は多い筈です。

一方、無料低額診療が、必要としている人々にあまり周知されていないというのは改善されるべきだと思います。

記事に登場した男性も、足のけがで事業を実施している病院に行かなければ、恩恵を受けることはなかったといえます。筆者の周囲でも、この仕組みを知る者は少ないのが現状です。

制度を必要とする人に正しく事業内容が伝わらなければ宝の持ち腐れです。

制度は知っているが自身がその対象であるかどうかがわからないという人のためにも、病院や行政の窓口には、明確な基準をわかりやすく、簡潔に書いた資料を用意することが望まれます。

また、我々も対象となりそうな人に制度の存在だけでも伝えたり、声を掛けたりすることならできるはずです。

コロナ禍により生活が逼迫する者はますます増えるでしょう。このような時期にこそ、改めて社会福祉制度の知識が、多くの人々に普及する重要性を知りました。

「無料低額診療事業」皆さんも、コロナ禍のみならず困っている方が周りに居たら知らせてみて下さい。

 

 

参考記事:

26日付 朝日新聞朝刊(東京13版) 27面 生活苦しくても受診あきらめずに

参考資料:全日本民医連公式サイト