5月が始まりました。
本来ならば楽しいはずのゴールデンウィーク。緊急事態宣言に伴い、筆者を含め旅行や娯楽を自粛する人がほとんどだと思います。本日の読売新聞、朝日新聞では「行楽・帰省控えて」という菅首相の呼びかけが掲載されていました。ワクチン供給の遅れもある今日、コロナウイルスに対する国民の緊張は高まる一方でしょう。
そこで今日は、不運にも緊急事態宣言下と開催時期が被ってしまったプロジェクト、「STREET ART LINE PROJECT」について考えたいと思います。
一昨日、対面授業を受けに学校へ向かう途中で色鮮やかな点字ブロックを見かけました。いつもの道がパッと明るくなり、眠気が一気に覚めるほどの衝撃でした。壁には「アートでつなぐ、視覚障碍者の新たな道」と記されています。場所は渋谷スクランブルスクエア2階の館外通路。この道で一体何が起こっているのでしょうか。
壁にあるQRコードから公式サイトに飛んでみました。
「STREET ART LINE PROJECT」は、点字ブロックそのものに啓蒙機能を持たせながら、 視覚障碍者の方々が街を安心して歩ける、そして楽しむことができる世の中を目指していくプロジェクトです。
モチーフは、太陽とサッカー協会のシンボルでもある八咫烏(ヤタガラス)です。太陽が人を照らし、その影を見えない存在である八咫烏が舞っています。素敵なデザインに豊かな気持ちになりました。
しかし、Twitter上では批判の声も見られます。「どうしても皮肉に思える」「視力が弱い人を馬鹿にしている」といったものです。
筆者はこの点字ブロックを撮影しようとした際、あることに気付きました。それは人通りが絶えないことです。シャッターを切りたくても次から次へと人がやって来ます。通勤、通学者の多い時間帯ということもあり、急ぎ足でその場を駆け抜けるのです。もし自分の目が不自由だったら・・・。周囲の慌ただしい足音に恐怖を感じるかもしれません。
確かに視覚障碍者がこのデザインを見ることは難しいでしょう。しかし、健常者の意識が変わることは確かです。ハンディのある人をいたわる心は少なからず芽生えると思うのです。
4月29日の日本経済新聞「Nextストーリー」第四弾にこんな記事がありました。
「日本ではアートを(生活から)切り分ける風潮があると感じていた」
こう話すのは、日本橋でアートとホテルの融合を図った田沢悠さんです。彼の言葉通り、生活に根付いたアートは日本ではまだ浸透していないかもしれません。だからこそ、こうした取り組みがもっと増えることを望みます。
今回紹介したプロジェクトは第一弾にすぎません。第二弾以降にも期待しましょう。
参考記事:
29日付 日本経済新聞朝刊(埼玉)40面「美術ファンの夢 ホテルに」
1日付 読売新聞朝刊(埼玉13版)1面『「連休中 行楽・帰省控えて」首相』
1日付 朝日新聞朝刊(埼玉13版)3面『首相「行楽・帰省控えて」』
参考資料: