領土問題解決に向けて、煽り返さない外交を

日本の最北端は「択捉島」。こう学んだ小学生のときから今まで、これを疑ったことはありません。しかし日本の最北端である択捉島に、ロシアのメドベージェフ首相が22日訪問しました。ロシアは領土問題に譲歩しない姿勢を強め、支配を誇示する態度を取り続けています。

ロシアの政治指導者が北方領土に足を踏み入れるということはどのような影響を与えるのでしょうか。日本政府は領土問題を進展させるために、年内のプーチン大統領来日を目指していましたが、計画の見合わせを余儀なくされます。さらにその準備のために予定されていた岸田外相のロシア訪問は白紙となりました。しかし対話は今後も続けていくようです。日本政府もロシアを非難しすぎてはいけないという難しい立場にあり、挑発のしすぎは解決を遠のかせるだけです。

ロシア側は対日関係にマイナスな影響を与えるとわかっていながらもこのような行動を取るわけですから、それなりの覚悟や思惑があるのでしょう。その一方で、「日本とは仲良くしたい」とも言っているのです。これは明らかな矛盾なのではないでしょうか。日本に対して挑発的な行為を取っているのはロシア側です。

ロシアに限らず領土問題の解決に向けて重要なことは、政治指導者が他国との対立を煽らない、ということだと思います。国内では政治的権力を示せるかもしれませんが、国外に対しては外交上のプラスをもたらしません。もちろん日本側もこれに真っ向から応戦してしまっては事態は悪化するばかりです。

今回のメドベージェフ首相の択捉島訪問を受けて、プーチン大統領の来日は中止にするべきだ、日本政府はバランスを計っている場合ではない、というような厳しい意見もあります。しかし私はそうは思いません。日本が突き放してしまってはもうそれ以上前に進むことないのです。そうしないためにも、慎重さと決断力を忘れず、ときには我慢も辞さない外交が求められます。

参考記事:各紙関連面