卒業まで残り約1か月。2月は大学入試の時期でもあり、受験生だったころや入学当初の思い出がふつふつと湧いてきます。一番悩んだことは文理選択でした。母校は高校1年の3学期に選択し、進級と同時に分かれる仕組みでした。家族の助言をそのまま受け入れ、理系に進みました。しかし、オープンキャンパスや先輩の話を聞いても、興味のある学部は見つからず、3年進級時に文系学部の受験を決めました。後悔はありませんが、モヤモヤした気持ちはまだ残っています。
<就活は理系の方が有利?>
同じ大学に通う後輩と就活について話していた時のことです。彼は宇宙事業に興味があり、部品の研究開発やロケット事業を技術的にサポートしていきたいと熱く語ってくれました。しかし、グローバル地域文化学部に在籍しているため、企業の関係者に相談すると門前払いされたそうです。卒業後に理系の大学院に進むことも不可能ではないですが、修士課程を修了できるのはほんの一握り。もし彼が理系で、営業や経理のような文系職種に進みたいと話していたら、企業もすんなり受け入れていたでしょう。
<未だに根強い偏見と批判>
些細な事でも文系、理系は異なった意味で使用されます。ちょっとした計算を間違えると「俺は文系だから~」と言い訳をする場面をちらほら見かけます。チェックシャツを着ただけで「理系っぽくてダサくない?」と言われたことも。単なる分類がアイデンティティーの一部になり、そのイメージに縛られている気がします。
2015年には「文系不要」に関する議論が起こりました。文部科学省が国立大学向けに出した通知の内容が、人文系学部を軽視しているなどと不満が噴出。海外メディアにも取り上げられるほど、影響力が強い報道でした。私立ではなく国立で改革を進めようとした点が衝撃的でしたが、大学が実学を主とした就職予備校化している現状が浮かんできた事件でもあります。
興味が少し変わったとしても、文系から理系の転部は難しく、進路はほぼ決まっている現状。さらに、決断する時期が遅いと、年齢的にも就活にも不利になります。高校生からの文理選択は時期尚早だと思います。リベラル・アーツのコンセプトに基づいた教養学部や文理融合の学部が理想的ですが、一部の大学だけに設置されています。より多くの地域、幅広いレベルの大学で新設されることを願っています。
参考記事:
14日付 朝日新聞エデュア 「『特集』文系、理系の壁」