突然ですが皆さん、8月8日は何の日かご存知ですか。1967年の8月8日は、ASEAN(東南アジア諸国連合)の誕生日です。発足当初はタイ、フィリピン、マレーシア、インドネシア、シンガポールの5カ国の連合でした。現在は東南アジアの10ヶ国が加盟しており、日本企業だけでなく中国や韓国企業も多く進出しています。今日は、そんなASEANについて考えたいと思います。
現地時間の4日、ASEAN加盟国と日米中韓などが参加する一連の外相会議がマレーシアの首都、クアラルンプールで始まります。カギとなるのは「中国」。岩礁を埋め立て、軍事拠点化を図ろうとする動きを懸念し、周辺国が軍事増強の動きを強める南シナ海問題が最大の焦点となりそうです。ASEANはこれまで中国の一方的な南シナ海での開発行為に対し、「懸念」を何度も表明してきました。しかし、中国から経済的支援を受けるカンボジアやラオスなどは、中国批判はしていません。ASEAN一体となって、中国と向き合っているというわけではないようです。日米中露北朝鮮の外相らが加わる6日のASEAN地域フォーラムでは、衝突回避に向けた「行動規範」の策定に向けても話し合う見通しです。中国はどのような方針をとるのでしょうか。
きょう筆者は運よく、インドネシアとマレーシアの学生と話をする機会がありました。それぞれに「各国リーダー、そしてASEANに期待することは?」と尋ねると、両国の学生は「更なる経済発展」と答えました。ASEANの国の中でも経済的格差が激しく、みんな平等になるような連合づくりを願っていました。また、マレーシアのムスリムの学生は「ロヒンギャ族の問題も、同じイスラム教徒として早く解決されることを願う」と述べました。安全保障の問題だけではなく経済的、そして文化的な面でも、話し合われるべき点はあるようです。
いずれにしても、中国の影響が今後より大きくなるでしょう。前述したように同じ加盟国の中でも、ある国は利害関係で衝突したり、蜜月な関係にあったりと、統一性がありません。「多様性」に富むことがASEANの特徴だと聞きますが、連合として成り立っていくためには、難しい面もあるのではないかと思います。
もうすぐ48歳の誕生日。みんなで仲良く、笑顔で迎えたいと思う人がほとんどでしょう。今回の会議はどんな成果を生むのでしょうか。そして、8日はどのような日になるのでしょうか。
参考記事:
4日付 朝日新聞(大阪14版)国際面「対中国 進む軍備増強 ASEAN外相会議 南シナ海焦点」
同日付 読売新聞(大阪14版)国際面「ASEAN外相会議始まる 中国・北朝鮮の脅威 議題に」