気候変動 自分ごとにできているか

「この星が直面している最大の脅威は、『他の誰か』がこの星を守ってくれるという思い込み」

先日、「谷口たかひささんお話会」に参加しました。以前朝日新聞の「ひと」欄で「10か月で445回の公演をした環境活動家」と紹介された方です。知人のInstagramの投稿でzoom講演について知り、その場で申し込みました。最初に挙げたのは、そのなかで谷口さんから発された言葉です。国連や政治家、大きな企業といった「誰か」が解決するのを待っているだけでは、あっという間にこの星は人が住めなくなる。とても印象的な言葉でした。

地球温暖化についてたくさんの衝撃を受け、自分がいかに問題へ関心を持っていなかったのかを痛感した濃密な2時間でした。

・生態系が変化し、大量発生したバッタのせいで人類の食糧が危うくなり、国連が「人道的危機」だと警告したこと。

・2000以上の家屋、30億匹の野生動物が巻き込まれ、多数の犠牲者が出たオーストラリアの火災は、気温が高すぎて自然発火したユーカリの葉が原因だということ。

・海水温上昇によって台風・豪雨・洪水が多発し、日本を含め世界で犠牲者がでていること。ヨーロッパでは熱波によって7万人以上が死亡したこと。

・科学者の予測では2100年まで観測されていないとされていた「北極の気温38度」が、2020年の時点ですでに起きていること。

・あと50年で地球上で人が住んでいる3分の1の場所はサハラ砂漠よりも暑くなり、住めなくなる可能性があること。

・海面上昇によって人々が沿岸部から次々と移住を始めれば、その先には争いが待っている可能性が高いこと。

どれも日本ではあまり知られていないことです。しかし、ヨーロッパでは気候変動についてのこうした情報が連日トップニュースになっているそうです。

「もうこれ以上『評論家』はいらない。世界はあなたの『意見』ではなく『実例』によって変わる。」

これも、講演のなかで私がはっとした言葉です。畜産による膨大な温暖化ガスの排出を食い止めるため、肉を食べる量を減らす。家の電気を再生エネルギーに変える。環境問題に真剣に向き合っている政治家を後押しするために投票に行く。環境にやさしいものでできた商品を買う。一人一人の行動が、企業を、政治を、動かします。

ニュースを見て、あれこれと議論し解決策を見出したとしても、そのうち実際の行動につなげることができているものはごくわずかであることが多いのではないでしょうか。私自身もそうです。「社会がこう変わらなければいけない」「もっとみんなに知ってもらわなければいけない」——「社会」にも、「みんな」にも、「自分自身」が含まれていることをどれだけ意識できているだろうか。もっともっと一つ一つの行動を丁寧に見直すことができたはずではないか。講演後に、今までの自身を省みました。

昨日の朝日新聞朝刊「ひと」欄にも環境問題に取り組んだ京大院生の紹介があったように、気候変動を抑えるためにアクションを起こす人は着々と増えています。谷口さんは、次のようにも言っていました。

「大きな希望は、ほとんどの人がまだ、気候危機を知らないこと。みんなが知れば必ず変わる」

この記事を読んで、気候変動について調べてみようと思う人、変えられることを実際に変えようと思う人が少しでも増えたらいいなと願っています。下記のリンクで、知るところから初めてみませんか。

 

参考記事:

3日付 朝日新聞朝刊(愛知14版)2面(総合2)「ひと 塚本悠平さん(25)」

参考資料:

あなたこそが、地球の最後の希望【谷口たかひさ最新講演】