日本プロ野球界に「あの男」が帰ってくるかもしれません。意外性のある打撃と強肩を生かした守備、「記録より記憶に残る選手」とも称される新庄剛志さん(48)です。7日に開催された12球団合同トライアウトに参加。成績は4打席1安打1打点で、ランナー1、2塁のチャンスで迎えた4打席目、見事にレフト前ヒットを放ちました。注目を浴びるほど力が発揮される彼らしい場面が見られました。果たして、球団から声がかかるのか。全国のプロ野球ファンは熱い視線を送っています。
天才であり、球界屈指のエンターテイナーという印象が子供の時からありました。スポーツニュースを見れば「新庄劇場」というワードが。今でも記憶に残っているシーンがあります。2006年6月6日の阪神戦、地上50メートルもある札幌ドームの天井から登場。本人曰く、命綱もなく怖かったので、目をつむってもバレないようにサングラスをかけて降下したそうです。
こだわりの被り物シリーズや、ハーレーでの開幕戦登場など、ファンの心を鷲掴みにしました。もちろんプレーでも魅せました。04年7月11日のオールスターゲーム。0-0で迎えた3回、二塁打で出塁した新庄選手は三塁へ。相手のキャッチャーがピッチャーに返球する瞬間、ホームへ突進しヘッドスライディング。慌てて送球するも、判定はセーフ。単独ホームスチールを成功させ、セ・パ両軍の選手もファンも大盛り上がり。他にも伝説はありますが、ここでは書ききれないほどです。
近年、日本プロ野球界は人気低迷という問題に直面しています。原因としては、①地上波でのプロ野球中継の減少、②野球ができる場所の減少、③スポーツの多様化、④坊主頭の強制のような古臭いイメージなどが挙げられています。個人的には、⑤選手による野球賭博や薬物使用などの悪いイメージが流布したこと、⑥プレー時間が長く現代の視聴スタイルに合っていないことも付け加えたいと思います。「カープ女子」や「ハンカチ王子の入団」といったプラスのニュースもありましたが、すっかり盛りを過ぎてしまいました。球界全体の活気が徐々になくなっているように見えます。
イチロー選手や藤川球児選手、岩隈久志選手などのスター選手が引退し、心にポッカリ穴があいたような気持ちです。かつての熱気を取り戻し、多くの野球ファンを獲得するためにも、「あの男」が帰ってきてほしいです。もう一度暴れてくれ!SHINJO!
参考記事:
7日付 読売新聞夕刊(大阪4版)8面 「新庄 仕上がり上々」