イランの核問題解決に関する「包括的共同行動計画」が最終合意されました。これは、イランが核開発を大幅に制限するもので、欧米諸国からの数兆円分の経済制裁も緩和されることになるそうです。
多くの国が国際問題で頭を悩ます中、日本はこれにより、経済的利益を多く得られるように感じます。
日本が得られる経済的利益は主に3つ挙げられると考えます。1つ目は、エネルギーの安定供給。日本は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦に加え、調達先を増やすことにより、エネルギーの安定供給に貢献することができます。また、イランが海外へ輸出を増やすことから、ホルムズ海峡の封鎖のリスクも減り、日本への輸送ルートも安定化するでしょう。2つ目は、原油安による日本の製造業へのコスト削減です。原油の調達先が増えることにより、産油国への価格交渉力が強まり、割安に買える可能性があります。3つ目は、イランへのビジネスチャンスです。多くの日系企業が、イランの国の安定化と欧米諸国からの信頼により、進出することが可能とかるでしょう。資源開発だけではなく、医薬品や医療機器、食料なども多く輸出できるようになるそうです。
今回の合意にあたり、他国はイランと国際関係上様々な関係があります。例えばロシアは現在、イランへの原子炉8基の新設で合意しているなど、原子炉輸出・武器売却を通じての中東での影響力の拡大の思惑があり、また、中国もアジアでの巨大経済圏の構築にあたり、イランと接近しています。欧米諸国は、イスラム国の問題の解決に向けて、イランとの関係強化は不可欠です。
これに対し、日本はエネルギー輸入では中東に依存しているあるものの、国際政治的には他国と比べると影響は少なそうです。だからこそ、今回の合意によって得られる経済的恩恵を最大限に享受できそうです。
もちろん「ホルムズ海峡」と言えば、集団的自衛権をめぐる判断材料の一つです。これにより、政府の主張はどのように変化するのでしょうか。
参考にした記事:
7月15日付 朝日新聞朝刊(12版)1面、国際面、オピニオン面
7月15日付 読売新聞朝刊(13版)1面、国際面
7月15日付 日本経済新聞朝刊(12版)1面、国際面