食の判断、お腹と相談を

1か月前に賞味期限の切れたコーヒー飲料、1本32円。賞味期限が1週間後に迫るレトルト食品49円。食品ロス削減を旗印に、「激安」食品を販売する店をよく見かけるようになりました。

筆者がよく行く店では、賞味期限が近づいている、もしくは過ぎているもののみならず包装不良、期間限定パッケージ、在庫余剰品などを「ワケあり食品」として販売しています。店内には、その旨を説明するポスターが。賞味期限までの日数や在庫数によって価格が上下することや不良品以外の返品、返金はできないことをお客さんに周知するためです。「従業員のおすすめ商品」「表記より5分ほど長くゆでると食べやすいです」など、陳列棚を飾る特製ポップは安全性を強調しています。

食品ロス削減推進法のもと、10月は「食品ロス削減月間」となっていました。官民ともに改革が進められています。消費者庁は、賞味期限を過ぎても安全に食べることができる期間が残されていることを理解してもらうため、新たな愛称を発表しました。その名も「おいしいめやす」。Twitterで公募していたものの中から、これを含む7作品が入賞。食品を買うとき目にする表示は賞味期限のままですが、ポスターなどで使われます。

賞味期限表示を日単位から月単位に変える企業も増えています。農林水産省によると、表示変更をした、あるいはその予定である会社は156社にもなります。また製造日から賞味期限までを賞味期間とし、その3分の1以内で店舗に納品する慣例に関しても、142社が見直しに同意しています。

こういった取り組みが拡大していけば、消費者の購買行動と意識を変えることでしょう。ただ最も大切なのは、食べたいものを食べたい分のみ買うこと、食べられるだけ作って残さないこと。私たち消費者が毎日繰り返す「お腹と相談しながら食の判断を行うこと」が、食品ロス削減への近道であることに変わりはありません。月間は終わりますが、その意識はそのままに。

 

参考記事:

29日付朝日新聞夕刊(東京3版)1面「「賞味期限切れ」スーパーの切り札」

30日付朝日新聞デジタル「賞味期限は「おいしいめやす」食品ロス削減へ愛称発表

31日付読売オンライン「賞味期限表示、月単位に変更する企業続々