「1つの授業にあたり対面・遠隔を同時に用いる」授業形式。文部科学省の調査によると、後期授業において対面・遠隔を併用する予定の学校のうち約5割が実施しているといいます。皆さんは、すぐにこの授業風景が思い浮かぶでしょうか。
筆者が属するゼミでも、こちらの授業形式が採用されています。約60人が在籍する大所帯の当ゼミ。ソーシャルディスタンスを保てるよう、必修科目の履修で使われるような大教室で授業を行っています。しかし、実際に大学に足を運んでいるのはたったの20人程度。半分以上がオンラインでの参加です。
そして、授業が始まると参加形式問わず皆スマートフォンやパソコンに向かいます。Zoomで授業を行うためです。つまり、対面であっても画面越しに講義を受けるという不思議な状況が起こります。目の前で講義を行う人がいるにも関わらず、画面越しに聞くのです。ディスカッションのグループ分けも話し合いも、Zoomです。これでは、大学に足を運ぶことに疑問を抱かずにはいられませんでした。
もちろん、全員がZoomを使い、やり取りすることにもメリットはあります。併用型を採用すると、どうしても対面で来る人が固定化してしまいますが、参加形態を問わずに話し合いをすることで、多くの人と繋がりをもつことを可能にしているためです。とはいうものの…。安くない交通費、短くはない通学時間をかける意味はあまり見出せないのが、正直な気持ちです。
他のゼミに所属している友人も、なぜか教授側の音声がミュートになり、無音で授業に参加することがあったなど、対面・オンライン併用型の授業形式に違和感を覚える人は少なくないようです。対面重視でもオンライン重視でも、どちらかに偏ると誰かが不便を感じる状況にあるのでしょう。併用型の難しさを実感しています。
コロナ禍における大学での授業。全国から通う人が多いほど、多様な授業形態を採用しているように思います。教授を含めた、誰一人取り残すことのない教育環境を整えるために。各大学が試行錯誤していることは理解できます。しかし、今実践に移している形式が必ずしも正しいとは言えません。各大学が、これからどのような授業形式を採用すべきか。試行錯誤する日が続きそうだと思う今日この頃です。
参考記事
21日 日本経済新聞朝刊(東京12版)39面「自主休校 『感染不安』なお」
参考文献