東日本に甚大な被害を及ぼし、死者・行方不明者109人に上った昨年10月の台風19号上陸から12日で1年となりました。読売新聞によれば、この台風19号によって17都県で約3万1000棟の住宅が全半壊し、今でも仮設住宅で約8700人が避難生活を送っているそうです。
私は、昨年、長野県長沼地区にボランティアとして入りました。「長野県の被害がすごいことになっている」。新聞報道で被害の様子を確認した私は、何か手助け出来ることはないかと、直ぐに大学のボランティアセンターに連絡。最終的に、学生有志20名前後が参加しました。
まずは新幹線で長野駅に向かいました。駅周辺の様子はいたって普通。人びとが行き交い、談笑する様子がそこにはありました。ただ、長沼地区に行くと事態は一変しました。家が崩壊し、木が倒れ、人びとは土砂のかきだし作業におわれていました。ここで、初めて被害の大きさを実感しました。
実際に、私がボランティアとして入ったのはリンゴ園。千曲(ちくま)川の堤防決壊に伴って流入した泥のかきだし作業です。リンゴの木が枯れないように、木の周りの泥を丁寧に取り除いていきます。単純な作業に見えるかもしれませんが、なかなかかきだすことが出来ません。なぜなら、泥は水分を多く含んでいる上に、写真や生活用品など様々なものが含まれており、注意を払う必要があるからです。加えて、土砂は20cm以上積もり、想像以上に時間を要しました。2日間で10時間ほど活動し、仕事を終えたのは計七本だけ。復興の難しさを実感しました。
「もう正直、難しいかも」。農家の方のこのような呟きを幾度となく、耳にしました。詳しく聞いてみると、年齢的にも、体力的にも、ケジメをつけるべきではないかということでした。この言葉には、かける言葉が見当たりませんでした。私が見て感じたのは、リンゴ園で出会った農家の方は高齢者が多く、若手は数えるほどしかいないということ。長野の美味しいリンゴを守るために、後継者を育成することは急務であると感じました。
ただ、最近、嬉しいニュースが飛び込んできました。先月22日、長沼地区にあるJAながのの選果場「ながのフルーツセンター」が、約1年ぶりにリンゴの出荷を再開したのです。コロナが収まり次第、現地まで美味しいリンゴを食べに行きたいと思います。
参考記事:
朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞 台風19号関連記事