デメリット多きGoToEat

 「#トリキ錬金術」というワードが一時期twitterをにぎわさせました。
これは、政府が10月から運用開始したGoToEatキャンペーンを悪用する方法です。そもそもGoToEatキャンペーンとはこの事業は13のインターネットの予約サイトを通じて飲食した人に、昼食で500円分、夕食で1000円分のポイントが後日もらえる仕組み。鳥貴族は、焼き鳥一本327円なため1,000円分のポイント付与との差額673円を稼ぐことができる。これを錬金術としてtwitterで広く紹介され問題になりました。

 今回のコロナで影響を受けた産業の活性化のために始まったGoToキャンペーン。消費者にとっては、いつもより安く消費ができ、事業者にとってはお客さんが来る。本来Win-Winのはずが、事業者が損する仕組みになってしまっているのが現状です。

そもそも、このGoToEatの対象はほとんどの場合グルメサイトに有料掲載されている店舗のみになります。無料で掲載されるグルメサイトもありますが、検索エンジンの上位に載るグルメサイトでは月額10000円から32000円程度かかります。また、それにプラスしてネット予約の場合「送客手数料」として200円程度お金がかかってしまいます。つまり、今回の錬金術を使う場合店には127円しか利益を得ることができず、人件費などを考えると店には人が来ているのに赤字ということが起きてしまいます。

また、これを機に今までネット予約をしてこなかった人もネット予約を利用するようになり、以前から問題視されているネット予約の利便さがゆえのキャンセルのしやすさによるキャンセルトラブルが増えてしまう可能性もあります。

他にも、いつもより感染リスクが増えてしまう、また割引分のポイントを一時的にお店が立て替えることによりキャッシュフローにおいて売掛金が増え資金繰りがただでさえ厳しい店にとっては登録も厳しいという現状があります。つまり、コロナで先行きが不安定になっている飲食店を救うための政策が手を出しにくい、また手を出したとしても損する可能性があるという問題点が残っているのです。地元の飲食店を救うために始まったこの政策が、結果的に飲食店にお金が回らなければ本末転倒です。

一度は問題ないとしていたこの錬金術も対策をきちんとすると農水省が発表しましたが、初めから起こりうる問題をもう少し予測することはできなかったのでしょうか?

参考記事 朝日新聞 30面「GoToEat少額利用対象外に」