ここ最近、地震や豪雨災害が起こると、やさしい日本語で書かれたニュースを目にするようになりました。やさしい日本語とは、私たちが日常生活で使うものより簡単で、外国人に分かりやすいように配慮した日本語のこと。筆者は、地元紙西日本新聞が2018年に新聞業界ではじめて導入して、その存在を知りました。2年前、「こんな伝え方があるのか」と驚いたのを覚えています。
やさしい日本語の具体例、島根県・(公財)しまね国際センター「「やさしい日本語」の手引き」より
9月27日、スクリーンショット
島根県・(公財)しまね国際センター「「やさしい日本語」の手引き」によると、やさしい日本語が生まれたのは25年前、阪神淡路大震災のときだそうです。
「外国人被災者のために、英語での情報提供が 発災から半日後に始まりました。しかし、英語が分からない人が多かったため、英語だけでは限界がありました。(中略) 外国人に災害情報を「迅速に」「正確に」「簡潔に」伝えるために、弘前大学・社会言語学研究室により考え出されたのが「やさしい日本語」です」。
「迅速に」「正確に」「簡潔に」伝えたいという発案者の思いが、四半世紀経って新聞やテレビを通して外国人に届いていることに改めて感動しました。
一方で嬉しいことばかりではありません。昨日の日本経済新聞夕刊に「外国人向け「やさしい日本語」、認知度3割どまり 国語世論調査」という記事がありました。それによると、在日外国人に災害・行政情報を伝える際、やさしい日本語を使う取り組みが行われていることを知っていると答えた人は3分の1にも満たなかったそうです。
日本に住む外国人に届けば私たちが知らなくてもいい。そう感じる人もいるかもしれません。しかし筆者は反対です。どれだけマスコミが情報を発信しても、それを入手することが難しい外国人にとって、やさしい日本語で書かれたニュースまで自力でたどり着くのは難しいからです。いつか何か災害が起きた際、近くに住む外国人に「このサイトのニュースはわかりやすいよ」と教えられるように、より多くの人がこの取り組みを知っておくべきではないでしょうか。
最後に、今回やさしい日本語について調べていて自分でも文章を作れることを知ったので、そのポイントを皆さんと共有したいと思います。⓵重要度が高い情報だけに絞り込む、②あいまいな表現は避ける、③難解な語彙を言い換える、④知っていると役に立つ災害語彙には「やさしい日本語」に言い換えた表現を添える(例:「余震」→余震(よしん)〈後で 来る 地震〉)、⑤複雑でわかりにくい表現は、文の構造を簡単にする。以上、5点です。あらたにすを外国人の方にも読んでもらえるよう、筆者もいつかやさしい日本語で記事を書いてみたいなと思います。
参考記事:
9月26日日本経済新聞夕刊社会面(東京4版)「外国人向け「やさしい日本語」、認知度3割どまり 国語世論調査」
参考資料:
島根県・(公財)しまね国際センター
弘前大学人文学部社会言語学研究室 減災のための「やさしい日本語」研究会 ポスター