最後の学生生活がこのような幕開けになろうとは予想もしていませんでした。入学式のない春。5月にずれた開講。原則全面オンラインという授業形式。異例尽くしの学期が、一度も登校することなく終わろうとしています。
振り返ると、基本的にオンライン授業は快適なものでした。私にとって満員電車に乗らなくてよい生活は10年ぶり。久しぶりに、朝の満員電車に漂うピリピリした空間からも、通学時間からも解放されました。
また、録画配信の授業は、都合の良い時間に受講することができ、効率よく進められたように思います。途中でとめて調べることも、見返すことも出来たので、学習を自身で深めるには適した形式だったのではないでしょうか。
一方で、通信が乱れるとオンライン授業は途端に不便なものになります。それは、Wi‐Fi環境が整っていない場所で受講していたときのこと。
何を言っているかわからない。
発言の途中で言われ、どきりとしました。パソコン画面をみると、ゼミ生が何やら笑っています。
「言っている意味が分からないのか…。」と落ち込みましたが、どうやら違ったようです。声が途切れ途切れになって聞き取れないとのことでした。意見を聞くだけであれば問題はなかったのですが、発言には適さないネット環境だったのです。通信制限はまだかかっていないからと甘くみていました。結局、その日の授業はチャットでの参加となりました。
意見をいうのは、口頭でも文字でも変わりはないだろう。そう思われる方もいらっしゃると思います。確かに、全員がチャットでの参加なら問題ないでしょう。しかし、1人だけ違う形での参加はやりづらさを覚えました。こちらがコメントを打ち終わるまで、待ってもらうのは心苦しかったですし、速く打たねばと焦るほど、意見もうまくまとめられませんでした。ネット環境の違いで、授業の質が変わると実感した出来事でした。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く今、秋学期も原則オンライン授業の方針をとる大学が増えています。出来ればキャンパスで授業を受けたかったですが、このままだと難しいのが現状です。それならば、全ての学生が「オンライン授業でも対面のときと変わらない」と納得して受講できるよう、大学側も学生も、今学期のオンライン授業の反省を来学期にいかしたいものです。とりあえず、私はネット環境のチェックを入念に行っていきたいと思います。
参考記事
29日付 朝日新聞朝刊(東京14版)2面 「ひらく日本の大学 朝日新聞・河合塾共同調査 オンライン 教育見直す好機」