世界で初めて植物の光合成機能の変化を解析できるソフトウェアが開発されました。開発したのは、愛媛大学発のベンチャー企業「プラントデータジャパン」。植物工場で集めたデータを分析するソフトウェアを開発してきました。
大学院でデータサイエンスを学ぶ筆者はこの報道に強い関心を持ちました。分析においては、どのようなデータが集められるのかというのはとても重要です。植物の成長と光合成機能は強い関係があり、育ち具合を光合成機能の変化として見ることができます。つまり植物の成長という不明瞭なものを、数値という明確な形で表せるわけです。これにより工場内の気温、湿度と成長の関係の分析が容易になることでしょう。
また、実際に求められるのは作物の成長だけではありません。品質や見た目、食品であれば味も含まれるはずです。これらの要素と光合成の関係まで分析できれば、勘に頼ることなく適切な収穫期が分かるかもしれません。この光合成機能の計測により、研究の幅が大きく広がり、実用に生かされることを期待しています。
モノづくりでは、中国や韓国の攻勢の前に日本は厳しい競争を迫られています。しかし、食品の安全性や農産物の品質の高さでは、海外でも揺るぎのない評価を受けています。今回の技術がさらに発展し、分析力を向上させることは、これからの日本を支えていくうえで重要なことです。しかし、現在の日本にはまだまだそういった人材が不足しているように感じます。大学ベンチャーが切り開いた道を、一般企業や研究機関も力を合わせて拡充していってほしいと思います。
参考資料:6月8日付日本経済新聞朝刊(東京14版)11面(新興・中小企業面)「植物工場「見える化」」