神戸市は新型コロナウイルスによる長期休校で生じる教育格差の拡大を懸念して、新たな取り組みを始めた。生活保護や就学援助を受ける家庭の中学3年生を対象に週1回50分、無料でオンライン個別指導を行うというものである。講師は市が公募した大学生が務め、来年3月末まで続く。
神戸市の取り組みには大賛成である。しかし、惜しい点があるというのも正直な感想だ。例えば、「週に1回50分」という時間制限。正直、少なすぎるのではないだろうか。高校入試に必要な科目は主に英語、数学、国語、理科、社会である。これら5科目で理解できない箇所を週に一回、しかもたった50分習っただけで分かるようになるのは、かなり難しいだろう。
また、中学生に限っている点も残念だ。中学校だけではなく、小学校、高校も休校していたはずである。それならば、限定すべきではない。
オンラインでの無料個別指導を週2回1時間半に拡大したうえ、小学生、高校生も対象にすれば、かなり充実した取り組みになると思う。さらに、この制度を恒久化していけば、「お金がないから塾に行けない」という子供はいなくなり、休校前から問題視されていた教育格差の是正にもつながる。
神戸市としては、この取り組みはコロナ対策での休校で生じた学力格差を懸念して始めたもので、恐らく、休んでいた間のブランクを埋められたら任務完了という立場であろう。
しかし、それはあまりにももったいない。是非ともオンライン個別指導の取り組みを拡充し、なおかつ恒久的な取り組みにしていただきたい。
20日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)29面「休校 広がる教育格差」