外に広げて、共感の輪

存在感が徐々に増しているクラウドファンディング。インターネットを介して、挑戦している事業、実現したい目標を発信し、それに共感した人が資金を提供する仕組みです。いくつもある関連サイトでは、コロナウイルスの支援プロジェクトが多く見受けられるようになりました。「コロナを乗り越え、お店を残し続けたい」「コロナに負けず○○を世界に広めたい」。

今日の朝日新聞朝刊で興味深いデータを見つけました。クラウドファンディングのサイトを運営する「CAMP FIRE」では手数料を0%とするコロナウイルス支援を実施したところ、2月末から生まれたプロジェクトの数は2千件以上。40万人の支援者から総額40億円を超える資金が集まったそうです。

実は筆者もクラウドファンディングの準備をしています。本来ならば今は春季学生ホッケーリーグ期間。練習に試合にと目の回る忙しさのはずでした。プレイヤーをサポートする仕事が中心のマネジャーにとって、部活動停止の2か月間は図らずも与えられた束の間の休息。それでも何か始めなければと、自宅にいる時間を使い仲間とオンライン会議を重ねています。

フィールドホッケーは本来芝生の上でプレーするものですが、筆者の大学にはホッケーのためのグラウンドがありません。普段は大学構内にある砂地の練習場を使い、週1~2回、県外の芝生コートを借りています。「試合本番に近い芝生での練習を増やしたい。でも回数を増やせば増やすほど他の運営に資金を回せなくなる」というプレイヤーの嘆きを聞き、その資金をクラウドファンディングで賄えないかと考えたのです。

しかしそう簡単に事は進みません。支援者へのリターンをどうするか、どのような内容にすれば多くの人に応援してもらえるか。そして本当に資金は集まるか。時間をかけた話し合いは終わりがありません。

朝刊には、筆者にとって耳が痛いニュースも。クラウドファンディング経験者を対象とする調査によると、「もともと知っている人」から支援を受けた割合が5割超え。全てが知り合いからのものだったと答える人が3割強とのこと。不特定多数からの支援が醍醐味であるにも関わらず、広まりにくいプロジェクトが少なくないことも分かります。

クラウドファンディングには、物理的距離があったとしても心を近づける潜在力があります。支援者に共感する人の輪が広がることもあるのです。その可能性が生かされるように、日の目を見ないプロジェクト発案者が少なくなるよう筆者も支援に参加してみよう。バイト代から1千円でも3千円でも、誰かを支える一助になればよいと思います。一つでも多くのプロジェクトが、内にとどまらず外に広がりますように。

 

参考記事:

3日付朝日新聞朝刊(東京13版s)21面「#論壇CF実は多い「内輪の支援」」

5月29日付読売新聞夕刊(東京3版)6面「かけがえのなさ再確認」