「夏の甲子園中止」が高野連から発表されてから、連日様々な媒体で報道されている。戦後初の中止、そしてセンバツに引き続いてのこの判断。甲子園という野球をやっていた人なら誰もが憧れた、唯一無二の場所でプレーするという夢さえ叶えられなくなった高校球児の今の心境を考えるだけで胸が痛い。
その一方で、甲子園という夢の舞台は中止になってしまったが、高校球児が思い切り野球をする場所を用意しようという動きも出てきた。高野連が都道府県別の独自大会の開催を容認したことにより、各都道府県高野連の独自の判断で大会再開を模索しているのだ。しかし、既に開催しないという判断をする地域も出てきている。25日には福岡県高野連は感染リスクと学業遅れを考慮して、県独自の大会は開催しないと発表した。大会は実施できないものの、学校長の判断で実施できる他校との練習試合については制限はなく、各学校で野球部の活動の場を検討する形になるそうだ。更に、本日都道府県独自の試合や大会を開催するにあたり高野連はコロナウイルス感染防止対策ガイドラインを発表した。少しずつだが、開催の方向へ進んでいる。甲子園中止の数日後に全国一斉に緊急事態宣言の解除がされた。現在街には多くの人が溢れ、少しずつだが非日常から日常へ戻ろうとしている。
そもそも、本当に甲子園は開催することは出来なかったのか。もし開催していたらと想像し、ガイドラインを(一部)考えてみた。
【関係者】
〇プレー中以外は原則マスク着用を義務化する。
〇検温を毎日することを義務化し、37.5度以上ある場合は別行動とし、4日以上続く場合は速やかに通院する
【試合】
〇試合開始、試合終了時の挨拶はホームベース前に集合せずに、ベンチの前からする。
〇試合球は多めに用意し、抗菌加工したボールを使用するか重さが変わらない程度に消毒する。
〇観客は野球部関係者(選手、保護者、学校関係者)に限定し、保護者、学校関係者は有料とし、運営費に充てる。
〇室内控え室の使用を禁止し、着替えは室外で換気が十分に出来て、プライベートが確保できるように工夫する。
〇ベンチ内もソーシャルディスタンスを確保する。
〇ヘルメット、キャッチャー道具はなるべく個人で使用する。
〇一試合毎に、大会関係者でベンチ・通路を消毒し、スタンドは退場するチームが責任をもって大会関係者が用意した消毒液で拭き取り消毒する。
〇大会役員、関係者は当番制とし、最小限で催行する。
〇審判員はなるべく40歳以下で配置し、感染リスクを軽減する。
【地方大会】
〇地元局、ローカルTV、インターネットTV等に協力を仰ぎ、全試合を放映する努力をする。
【移動】
〇飛行機は航空会社の協力のもと、なるべく選手間、そして関係者と一般席とのソーシャルディスタンスを確保する。
〇新幹線はJRの協力のもと、小・中学生の修学旅行をモデルに、選手専用車両を運行し、ソーシャルディスタンスを確保する。
〇引率はなるべく20代の学校関係者とし、野球部関係者が30代以上の場合は別行動とする。
〇駅↔宿舎、宿舎↔練習場所、宿舎↔甲子園等、全ての移動は貸切バスとする。
【宿泊】
〇選手の宿舎は個室とする。
〇食事、入浴の時間もなるべく少人数でソーシャルディスタンスを確保する。
〇ミーティングもソーシャルディスタンスを確保し、短い時間とする。
〇大会期間中の外出、観光は禁止する。
日本は来年東京オリンピックを控えている。これほどまでの大きな規模の大会をコロナウイルス対策をしながら開催しなければならないという状況を考えると、甲子園をコロナ対策を十分に取って行うべきだったのではなかろうか。来年までに特効薬かワクチンを製造することができなければ、コロナ対策をしながらの大会運営をしなければならない。世界的に見てもコロナ対策をしながらの大規模イベント運営の実績がない今だからこそ、日本が先陣を切る必要があったと感じる。
実は私にもひたむきに野球に取り組んでいる現役高校球児の弟がいる。もちろん一番悲しいのは突然甲子園という夢の舞台を断たれてしまった球児たちだが、今まで彼を支えていた仲間や親も同じ気持ちだ。野球はもちろん、ほかの競技も同じことが言える。すべての都道府県で部活動をひたむきに取り組んでいる学生の夢を繋げられるような場所が用意されてほしい。
【参考文献】
・高野連、ガイドライン発表 地方独自の大会で感染防止策
https://www.asahi.com/articles/ASN5W744YN5VPTQP003.html
・「福岡県高野連、独自大会せず」朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/DA3S14489425.html
・15日付読売新聞朝刊「夏の甲子園中止」関連記事18、19、27面
・プロ野球開幕6月19日に… 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/20200525-OYT1T50130/