子供中心の「9月入学」を!

 4日、緊急事態宣言の5月31日までの延長が決まった。それに伴い各自治体も休校期間を同日まで延長する方針を固めだしている。3月2日から続く休校がさらに延長されることとなり、教育機会の確保が喫緊の課題となりつつある。

 そんな中、「9月入学」案が急浮上し始めた。休校の長期化による学力格差の解消につながり、欧米などの秋入学にも合わせられ一石二鳥というわけだ。

 小池都知事は「賛否両論あるが、こういう時期だからこそできることもある。日本の教育が世界スタンダードになるため、中身の濃い議論をスピーディーに行い、子どもの声も聞くことが必要だ」と9月入学賛成の立場を示した。

一方、安倍首相も「9月入学」について「前広に様々な検討をしたい」と表明しており、6月上旬にも導入の可否について方向性を示す構えだ。

 私は子供の安全と学ぶ機会の観点から9月入学、9月新学期しかないと考えている。オンライン授業で対応すべきとの意見もあるが、公立学校では技術面でも、設備面でも難しいのが現状だ。現に、4月21日発表された文部科学省の調査によると、16日正午時点で休校中または休校を決めていた1213自治体のうち、教員と児童生徒がやり取りできる「同時双方向型」のオンライン指導に取り組むと回答したのは60自治体(5%)にとどまっている。「同時双方向型」のオンライン授業が行えない現状が続く限り、十分な教育は施せないはずだ。それならば、9月入学で対応するしかないのではないか。

また、夏休みを短縮し授業時間を確保する動きも出ている。しかし、酷暑の中、詰め込んで授業を行えば、子供の精神的負担が大きくなることはあきらかである。さらに、「三密」状態の教室で新型コロナウイルスの感染リスクを下げるためには、窓を開けて換気する必要があるが、真夏に窓を開けてエアコンが十分に効くのかも疑問である。

 やはり、子供の安全と「教育を受ける権利」を考えたとき、9月入学しかないように思う。もちろん、様々な課題があることは確かではある。しかし、無理やり今年度の学年暦を押しつけ、形だけの授業をするべきなのだろうか。

混乱はあれども9月入学、9月新学期にして、十分な教育を施す方が良いように思う。しっかりとした授業を受けられず、漢字も書けない「コロナ世代」などと揶揄される教育弱者世代を生み出さないためにも、政府には9月入学案を前向きに検討してもらいたい。

参考記事:

2日付 読売新聞朝刊13S 2面「9月入学 論点整理へ」

4日付 朝日新聞14版 1面「緊急事態 月末まで延長」